どうもローンイマイです。


投資記事を書く前に、たまに書いてた経済記事でも久々に。

若い人で、当時の送電線網、原発保有のJパワー(電源開発)の外資の事件とか、当時の証券業界、マーケットの反応とか知ってる人も、今は少ないと思うので書いておきます。

当時この問題を書いた本なんかを読んだんですが、紙の本をほぼ捨てちゃって、今は全部電子にしちゃったんで、Kindle にもなって無いから本は、全部記憶なんで、その前提で読んで下さい。
(まあ・・普段も記憶で・・絵を入れる時の絵の数字が違う事が分かったら直すようにはしてますが・・面倒でたまに直さないけど。。)


今、通信事業者大手がモメにモメている問題が、
1985年に電電公社が民営化された時に出来た
NTT法
を廃止するか存続かの問題です。


楽天の三木谷さんや、ソフトバンクの宮川社長、KDDIの高橋社長がX(旧ツイッター)で各社のトップが一斉にNTT法廃止に猛烈に反対しました。

それに対してNTTの広報もXで反論してます。
三木谷


この記事は23年11月24(金)にAM0時過ぎにUPした記事です。
(古い情報になってる可能性がありますので、一応お断りです。)

スピード重視なんで、誤字脱字は、適当に読み替えて解釈して下さい。

何を書いたか後で分からなくなるので、目次としてまとめておきます。


・NTT法廃止議論の開始
・JT株と防衛費の確保
・NTTのインサイダー情報
・NTTの義務
・通信3社、総務省の本音
・外資規制と安全保障
・アメリカの強烈な法律
・NTT法廃止案 党内慎重論
・Jパワー事件
・証券業界の反応




枕(まくら)





2017年4月の古い記事です。
東芝が今年2023年12月20日に上場廃止します。

個人的な意見ですが、経産省の官僚に梯子を外された東芝が凋落するキッカケになった事件です。
当時の記事にも書きましたが思う所が沢山あります。

人間は覚える能力以上に忘れる能力の方が長けています。

じゃ、勉強して覚えて忘れた事がムダかというとそんな事は全然無くて、当時そんな事を思ってなーって集積が割と今に生きたりします。

人間は近未来を考えて生きてる事が多いですが、マーケットの世界とか経済とかまさに予想で生きてます。

人類史上始まって以来明日なんて経験した事ないんだから、予想が当たる訳じゃありません。

○○億円投資家のAさんとだけ等価の情報交換をさせて貰ってますが、私よりも遥かに長いスパンで予想をしますが、私は長短の予想はしますが、割と短期の予想をする事の方が多いので、割と結果が早くでるので、予想が外れて反省材料が出ます。

Aさんだとロットが大きいので、毎日数千万円で含みの損益が前後します。

私だと今年の5~6月頃とか2ヵ月間で予想を外してトータル数千万円ほど損切りもしました。
普通の会社員にはキツ過ぎる損失です。

失敗は誰でもあるので、こういう時は熱くなりそうだと感じたら大きく深呼吸する事です。

深呼吸すると脳が落ち着いてると勘違いするので案外冷静になれます。

投資経験が浅い頃の失敗って、「未熟」なんじゃ無くて、「未経験」なだけなんです。

ただ投資の失敗って、事前にいくら重要だって言われてた事で失敗して経験してみないと、その重要性に気づく事が中々できません。

「損切り」は絶対で例外なんて無くて、「塩漬け」なんて論外だと2011年に記事で何回も書いて、それをここで読んでた方でも、「損切り」に失敗した人もいるはずです。

私も未だに失敗しますからね。

さて、本題へ



NTT法廃止議論の開始

ことの経緯は、

①6月に防衛費の財源確保策としてNTT株の売却案が浮上しました。

②売却する為には、NTT法の改正が必要で、

NTT株の株主構成は、
32% 政府&地方公共団体が保有
19% 金融機関
19% 外国法人などで
24% 個人

これはNTT法で1/3政府が保有しなければならないと決められているからです。

③9月に、突如NTT法の廃止案が浮上して

④11月にNTT法の見直しを検討するプロジェクトチームが廃止を含めた政府への最終的な提言案を提出する予定となってます。

これで、賛成派・反対派で割れています。

ざっくりですが、
[賛成派]vs[反対派]

①政府自民党 vs 政府総務省(※)

②NTT vs 楽天等の通信事業者

③甘利明プロジェクトチーム座長(元自民党幹事長) vs 野田聖子(情報通信戦略調査会会長 元総務大臣)

みたいな対立図です。

(※)政府総務省っていうのは電気通信事業者を監督する官僚の集団
この審議会が古今東西、官僚がやりたいことを提言してもらう官僚の隠れ蓑って言われてます。

防衛費増額の為のNTT法廃止って、総務官僚にとってみれば寝耳に水だし、既得権を侵されつつあるという疑心暗鬼を持ってる感がすごく強い感じがしますね。




JT株と防衛費の確保

だいたいが、防衛費を確保するのに、何でNTT株なんだ?って話なんですが、

財務大臣名義で政府が1/3持ってる株って他にも
日本たばこ産業(JT)
があって、

通信なんて重要産業の株式なんかよりも先にJT株売れや!って話なんですが、

無論、JTには財務省の役人が天下りして癒着構造が出来てるんで、財務省系譜の岸田内閣がOKなんて出さないから

要は監督官庁の力関係で、「JT法」 の改正に踏み切る事はキッシーはやらないから、相対的に力が弱い総務省を突破しようって話です。

だいたいが防衛費を確保するならば、

受注が急増の三菱重工業は、
11月22日に防衛事業の売上高が2024─26年度の次期事業計画中に年間1兆円規模になるとの見通しを発表して

これまでは年5000億円弱で推移が、日本政府の防衛費増額を受けて倍増を見込みます。
受注した製品を納入し、売り上げ計上が進む27─29年度は年1兆円以上を計画。
防衛事業の売上高について「3年くらい(26年度)かけて売り上げが伸びていき、1兆円規模に達する」との見通しを示し、利益率は「10%くらいは狙っていきたい」と記事になってましたが、

追記:
2023/11/24 日経朝刊
三菱重工業


当面は、
JTの売却益と
防衛国債にしておいて、

法改正して三菱重工業なり他の防衛産業に、同盟国には輸出を許可して外貨稼ぐ事でその分を政府の予算として、防衛国債の償還に充てろよ!ってのが、個人的な意見ですけどね。

国債って言うと、とにかく財務省が嫌がりますが、
普通、成長してる企業は、お金を銀行から借りて、成長産業に投資する事で、企業はどんどん売上、収益を伸ばしていって、その税収が国家の財源になるんで、

アメリカのようなあれだけ大きい国が成長してるのは、ドンドン投資するからで、その投資の源となる国債を成長産業に投じて何が悪いんだ?ってのが、個人的な意見だけどね。



NTTのインサイダー情報

自民党の「防衛関係費の財源検討に関する特命委員会」(以下,特命委員会)の委員長は萩生田政調会長で、

この特命委員会が6月に防衛費の増額に必要な財源の確保に関する提言をまとめ、岸田総理に提出しました。

この提言の中には、
防衛費の財源には、政府保有のNTT株の売却以外にも、税収の上振れによって蓄積されている決算剰余金や、 為替介入資金を確保している外国為替資金特別会計の剰余金の転用なども含まれていました。

こうした過去の予算で余ったお金は、本来国庫に戻すべきお金ですから、防衛財源のための安易な増税を回避するために防衛に使おうという観点は間違ってない正しい方向だと思います。

1980年制定のNTT法は 固定電話のユニバーサルサービスや電気通信技術の研究推進とその成果の普及義務の担保措置として、政府による1/3以上の株式の保有義務が課されてます。

NTT法は、時代遅れの部分が多いことは間違いなくて、NTTは取締役や監査役の選任と解任、定款の変更やら、毎年の事業計画などについて、ことごとく総務省の認可を受けなければいけない仕組みになってます。

これってKDDI、ソフトバンクのライバルが大きく成長して、NTTも様々な経営判断で 機動性、迅速性が求められているのに、こんな形で総務省がNTTの手足を縛っちゃいけないに決まってます。

NTT法と3社


外国人がNTTの取締役になることを禁じているという問題もあって、
楽天あたりが外国人役員どころか英語で取締役会やってるっていうのに、こんなことを邪魔してNTTの国際化が難しくなります。

国際競争をやる為には、せめて取締役の過半数にならない程度に外国人枠を作って積極的に外国人取締役を登用する時代だと思いますけどね。

昔に本で読んだんですが、
総務省の認可を得るために、NTTが申請する政治家に総務省が根回ししますので、新聞記者は口の軽い政治家を狙って特ダネを取るっちゅうことやってたそうなんです。

それがインサイダー情報でも政治家の情報管理って杜撰だからね。

逆の発想で政治家に根回ししたから、早く表沙汰になった方がインサイダー取引を予防できて良いと言って特ダネをリークしてくれた官僚なんかもいたそうです。



NTTの義務

なんでこんな事になってるかと言うと、

「ユニバーサルサービス」って言うんですけども、
例えばNTTは、「もしもし」の電話サービスを全国で広くあまねく提供する義務っていうのを負わされてます。

携帯もインターネットもなかった時代の過疎地の通信手段確保のための制度というか概念だったんですけど、

これをやらせるためには、どんな人が取締役になるとか、どういう定款になるとか、どういう事業計画だっていうの認可制にしないとユニバーサルサービスを維持できないって理屈を言ってます。

これって規制するための屁理屈にしか聞こえないんですけどね。

今現在、ユニバーサルサービスを携帯やブロードバンドを含むものに衣替えする必要があると言ってるんですが、これもお役人の悪巧みの可能性が高いです。


他の事業者は衛星携帯電話で離島や僻地をカバーするアメリカの通信サービスの代理店業務みたいなことも始めてますから、やっぱり時代遅れの行政の過当介入としか個人的に思えないですけどね。


ユニバーサルサービス義務をかけないとNTTがやるべき事ししないか?っていうと、それも変な話で、

固定のブロードバンドは、NTTが主体に提供してますが、この普及率は国際比較でOECD経済協力開発機構によると、日本は85%と世界で韓国について第2位なんです。

アプリ世界では日本企業はアメリカのIT大手GAFAMにおよびませんけど、 NTTがメインの通信網ネットワークでは、日本はもう世界一の光の国と言っていいほど進んでます。

こう考えると、NTT法廃止を主張するのは、説得力があると思いますけどね。

個人的には、後述しますが、外資規制以外はNTT法の存在意義は、もはや無いと考えますね。



通信3社、総務省の本音

NTT法の廃止、改正案にあたって、
ユニバーサルサービスの確保だとか、取っ手つけたように国民目線とかユーザー目線だとか、綺麗事の応酬をしてるんですが、

もう本音は、総務省の役人が、NTT法を維持したいって一心で、とにかく美味しい既得権益で、NTTの事業を全部認可したり、天下り先の確保に必死で、そうなると不透明な裁量行政が横行します。

一方で強力なライバル企業である、楽天、ソフトバンク、KDDIは、法律でNTTを縛っておいて欲しい訳です。
NTTはこのままだと国際競争に負けちゃうじゃんって危機感からきてます。

通信事業ですから当然、経済安全保障に関わります。

NTT法めぐる党内の主張


NTTと通信3社の意見は、
①ユニバーサルサービス
<NTT>
NTT法で無く電気通信事業法(通信事業者が対象)に統合すべき

<通信3社>
NTT法廃止では、全国に提供する事は不可能

電気通信事業法でそもそもユニバーサルサービスに規定されてるよってのがNTTの言い分で、当時、固定電話を前提としたNTT法なんで、そもそも古くて、今は光ファイバー網、離島は衛星もあります。
他国も事業法で対処していて特定企業の法律なんて定めてませんから、不足があるなら電通法の改正でいいじゃんって話な気がします。

②公正競争
<NTT>
・電気通信事業法で規定されている
・NTT東西とドコモを統合する考えは無い

<通信3社>
・NTT法と事業法の両輪で機能
・NTTグループの再統合を懸念
NTT東西


③外資規制
<NTT>
・外為法、その他法令などで規制
・NTTだけでなく主要通信事業者を対象に

<通信3社>
・外資法強化では困難、NTT法による規制が有効
・海外からの投資促進政策に逆行

11月に自民党が提言をまとめた後に、総務官僚は来年6月に報告書を取りまとめると言っていて、総務省は、それまでにじっくり時間をかけて、NTT法廃止とかその自分たちの事業者監督権限の縮小とかいった議論をあの手この手で潰そうとするんだろうなという事が予想される展開になってます。

先日もテレビでNTT法の議論に情報通信戦略調査会の委員をやってる大学教授みたいなのが、無論総務省の操り人形ですが、NTT法の改正に持っていくような話を延々としてました。

NTT法の攻防




外資規制と安全保障

通信事業は、生活や産業の基盤どころか安全保障の為にも重要な社会インフラですから、外資規制は重要です。

NTT法の外資規制は、日本国籍を持たない個人だったり、外国政府、法人やその代理人を通じたNTT株への株主名簿への名義の記載を求めたとき、発行済株式の1/3を超える場合は、名簿への記載に応じてはならないとなってます。

まあこれもあまり意味は無いんですが、
個別の株主は、持ち株比率が1%以上になれば、株主総会で自分の提案への賛同を増やす目的で事前に提案内容を 他の株主に周知しろってことを会社に要求できますし、

3%以上になれば、「株主総会招集しろ」とか、「会計帳簿を見せろ、閲覧させろ、コピーさせろ」っていうことも自由にできるようになってます。

前述のように、外為法があるから、NTT法の外資規制を不要だという議論がありますが、

外為法には事前届け出制って言うんですけども、日本企業の株式を取得しようとする場合に、何が目的かとか事前に届け出て、財務省を初めとするその企業に関係する関係省庁から了解得ないといけない仕組みがあります。

2019年に改正されて、それまで規制の対象がそれまで10%以上株を買うときだったんだけど、今は1%以上まで厳格化されてるんで、かなり完璧だっていうのが、そういう人たちの言い分です。

この制度もアメリカと比べれば遥かにヌルいです。



アメリカの強烈な法律

アメリカでは
エクソン・フロリオ条項
っていう法令があって、

そのもとでアメリカ大統領の権限を委譲する形でCFIUS(シフィウス)対米外国投資委員会っていうのが作られていて、ここが外国企業によるアメリカ企業への投資案件をチェックする仕組みをとってます。

これが何とも強烈で、もしも、そのある投資を成立させた後何年か経っても、その投資に疑惑とか問題とか業務がおかしいということになったら、過去に遡ってその投資そのものを無かった事にしちゃうということができる制度になってます。

なので、その日本の外為法はあくまで事前審査が基本です。

防衛産業の土地の周りを中国買われちゃったしてる日本でも、今のような米中デカップリングの時代に何が起こるか分かりませんので、こういう強烈な法律は必要だと思いますけどね。


NTT法廃止案 党内慎重論

自民、NTT法廃止案「25年目途」に後退 党内慎重論
って、記事が昨日でてました。

原案では2025年までにNTT法の廃止を求めると記載していたが「25年を目途に」と表現を弱めた。

との事です。

追記:
日経新聞 11/24朝刊
NTT法




Jパワー事件

NTT株を政府が放出した時に、支配力を強めたい誰かにとって格好の買場になリスクがあります。

その前例は、
2004年10月に東証一部に上場した
Jパワー(電源開発)<9513>

のケースで、大手の電力会社10社が主な顧客の巨大な発電会社です。

それまでは特殊法人だったんだけど、上場に当たって政府や電力会社が保有していた株を全部放出しました。

後になって判明するんですけど、こうした放出株をコツコツとイギリスの投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド」(TCI)が密かに買い集めていました。

そして外為法の当時の規制の寸前になる9.9%まで保有株式を増やす一方で増配を要求する株主提案をしたんですね。

結果として株主総会でその増配提案は否決されたんですが、それでもTCIはエスカレートしていって、外為法に基づくその申請も行って保有株を9.9%から20%に増やします。

Jパワーは本州と四国とか本州と北海道の間の送電線、かけがえのない送電網を保有している上に、使用済み核燃料を燃やすための原発大間原発の建設に着手してしていたことから、電力の安定供給や経済安全保障を揺るがせかねないっていうんで、政府、このときは財務省と経済産業省の担当になったんですが、TCIに対して株式株式の買い増し計画の中止命令を出しました。

これが日本が外為法に基づいて中止命令を出した、たった1件の前例なんですが、実は大きな禍根を残しました。


証券業界の反応

この政府の決定っていうのは当時の証券市場関係者からは、物凄~く批判を浴びました。

海外からの日本への投資機運というのが、せっかく盛り上がりつつあるのに、後出しじゃんけんで禁止するなんて、その機運に冷水を浴びせるようなもんだって話です。

今なお、あのケースは証券関係者の間では、外為法の事前審査っていうと噴飯ものだっていう象徴的な事例として記憶に残ってます。

なので、単なるNTT法廃止だけじゃなくて、外資による国内企業への投資のリスクをきっちり抑制する施策をもう一度セットする必要もあります。

加えて、水道や鉄道、 航空、電力などの公益事業インフラ事業も対象だし、原子力、半導体のような重要産業まで含めてしっかり外資の買収によるリスクをコントロールしくみする仕組みを作ることが必要になってます。

総務官僚あたりは自分たちの既得権の擁護しか考えないで、そういう事には頭は回さないので、そういう事が重要だって国民気運が盛り上がる事が重要でしょうね。


では、では

ちゃんちゃん。