どうもローンイマイです。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

私は今週夏休みでした。

日中は株式トレードしたり、その後は遊びに行ったりと、夏休みという過ごし方じゃないですが、ごく普通に過ごしました。

株式投資を仕事しながらじゃなくて何日間か集中してやるなんて、去年の夏休みで1年ぶりくらいです。
だいたいが会社でスマホとipad の2つを見ながらやってますからね。

やっぱりPC版のツールで色々指標チェックしながら、フル板見ながら集中してトレードできるとか超楽ですね。

こんな感じ
PC環境2-re


たまに記事の内容が早くて分かり易いと言われるんですが、
8年以上もブログ運営して、当初から経済記事を書いてるので、慣れてるだけだと思います。

その代りに早くタイピングするので誤字脱字は酷いです。
ツイートしても誤字だらけです(笑)

たまに記憶で書いてると数字も間違えてたりで、
あまりに意味が理解できないレベルの誤字や、大きく数字が違うツイートは消すんですが、
ちょい誤字や誤り程度だと放置してしまいます。


さて結果、投資記事になってしまうかも知れませんが、別に投資関係なく知識として知っておくと良いかも知れませんので、半導体について記事にしてみます。


この記事は2022年8月21日(日)7時00分ごろに書きはじめて、そこから40~50分後くらいにUPした記事ですので、その前提で読んで下さい。
(記事時間は、NEWマークが付くように、適度に最新時間にしてます)


全てローンイマイの日記で、個人の見解ですので、紹介した銘柄は決して推奨では無いので投資は自己責任で行って下さい。

コメントの際は、投資暦、投資スタイル、具体的なポジションを持ってる銘柄を記載いただけると助かります。




情報交換募集

しつこく何度か書いてますが、

「等価」で濃く情報交換できる方は、ツイッターでもブログにメッセージでも良いので送ってくださいね

・専業でやってる人
・兼業でも、真剣に投資で食っていこうって人

FIREして専業の方で連絡くれた方がいて、ここ数ヵ月情報交換してますが、WinWinの関係が築けてます。

随分前に記事でも少し書いたんですが、私自身も会社員を退職した後は、専業の個人投資家としてやっていこうと思ってますので、

濃く数人でも情報交換できる信頼できる仲間が出来ればと思って、このように情報発信してますので。

あ、でも、真剣で無く趣味程度で投資やってる人でも、参考になったとかあれば何か感想は欲しいです。



半導体 決算で分かる未来

4-6月の四半期決算もほぼ終わりましたが、

前回1-3月の決算の時に、「適時開示資料」を見ると今後の世の中の方向性が見えてくると記載して、

決算資料から世の中を予想
http://loanimai-bigbust.net/admin/20220515-invester64.html

「東京電力」の適時開示資料が凄く興味深かったと記載しました。
この時は各自で最終判断のまとめはしてとしましたが、

今回4-6月の四半期決算も傾向がハッキリと出るな~と思ったので個人のまとめも書いてみようかと。

世の中の今後の景気は、「半導体」の好不況で分かると言われており、半導体の好不況は世界景気の「温度計」であり、「半導体は産業のコメ」と言われてます。

半導体

データで見るとハッキリわかるんですが、半導体の売上高の山は、世界の国内総生産(GDP)より1年ほど先行してるんですが、製造業の川上にいるため、生産量が変動するタイミングが早いからです。

たとえば、今年12月のクリスマス商戦で家電メーカーが仮に弱気見通しの生産計画を立てると、夏~秋には家電用の半導体の生産量は減産します。やはり半導体は製造業の川上にいるんですね。



シリコンサイクルと暴落初動

ちょっとツイートしたんですが、
4-6月の四半期決算で、同じ半導体を扱う企業でも好不調がハッキリとしました。

理由は割と歴然としてましたので、その見解を後述しようと思います。

半導体業界は「シリコンサイクル」といって、歴史的に通常1~2年の成長期の後に、1~2年の停滞・後退期が訪れていました。

直近で3年以上の成長が見られたのは、2016~2018年 DRAM(短めの記憶をする半導体)とか、NANDフラッシュメモリ(写真をデジカメで撮ったら、デジカメの電源を切っても残ってるみたいな長い記憶)は、2018年頭くらいにピークアウトしてます。

半導体製造装置の世界的な業界団体である、セミ が2021年9月に公表した前工程製造装置に関するレポートでは、20年から22年まで成長が続くとしていました。

株価的には、DRAM大手の東京エレクトロン(後述します)は、
2017年11月で24000円弱の高値を付けて、1年後の2018年12月に11730円まで下げてて、メモリを作り過ぎてピークアウトしました。
ところがその後、去年の2021年10月は、70000円弱の最高値を付けてます。

東京エレクトロン 月足チャート
東京エレクトロン-月足

2021年はDRAMがピークアウトぎみなんでは無いか?といわれて、シリコンサイクルに近いものはあったんですが、そこまで値崩れはせずに立ち直りました。

2020年~2021年から半導体需要が高まり続ける状態の「スーパーサイクル」に突入したとも言われてました。

それは従来のパソコン、家電などの需要以外で、5G、AI、コロナによるテレワークによるクラウドサーバー、仮想通貨のマイニング用サーバーなどの新たな需要がでてきた事によります。

世界の半導体売上高推移(図:ITmediaさん引用)
割と前の図なので21年以降は記載無いです。
000_世界の半導体売上高推移


それに伴い2020~2021年と半導体株は右肩上がりに上昇しました。

ハッキリ言ってコロナ以降で金融緩和も相まって、銘柄選別がヌルくても半導体銘柄 買っておけば勝てた相場でした。

このヒントは、2021年3月に投資記事を書く前に記事にしました。

半導体不足 アメリカ経済と学ぶべき事
http://loanimai-bigbust.net/admin/20210313-us-economic.html


それが2022年になり様相は一変しました。

米国のインフレ懸念から、金利の利上げ観測が高まり PERの高い銘柄の多いハイテクの半導体株は 片っ端から売られて、PERも高く無くて割高感が無い半導体銘柄も巻き込み事故で、半値近くになった銘柄が沢山あります。

今年頭の1月10日の時点で、この事は記事にしました。

大暴落判断法
http://loanimai-bigbust.net/admin/20220109-invester-28.html

半導体株のレーザーテックを例に高PER、PBRが売られてると
当時のレーザーテックは、
PER138倍
PBR56倍
(ただそのうち持ち直すと思いましたが、相当長引きましたね。。)

上記記事に記載しましたが、
1月6日にアメリカの株価が崩れだしたきっかけは、

FRB(米中央銀行)の議事要旨が1月5日に公表されて
FRBの「バランスシート縮小」を開始する事が適切って事に同意した事です。

ここから始まってます。(もう皆さん忘れたでしょうが)



半導体:基礎知識

半導体の基本の仕組み、業界、ビジネスモデル、などの書籍は沢山出てるので、
より詳細を知りたい方はそちらを読んだ方が良いかと思いますが、

ある程度の基本を知らないと、何こいつ書いてんだ?と思うかも知れないので、基本から簡単に記載します。

何が正解とか無いのですが、私の場合はスイングでも長めに持つ可能性がある銘柄の時は、その業界(セクター)の仕組みや、ビジネスモデルを理解しないと、投資先の銘柄の選別が出来ないので本を読んだりして理解するんで、その内容や聞いた話、調べて理解した内容などを記載します。

半導体は我々の身近なあらゆる製品に使われています。

通信、家電、電子機器、産業機械、電気を使うあらゆる製品に漏れなく使用されております。
身近ですと、スマートフォン、パソコン、自動車などなどです。

半導体を簡単に定義付ければ、
「電気の流れをコントロールするもの」って事で良いのかと。

①半導体の用途では、
データセンター、パソコン向けで36%
スマートフォンなどのモバイル通信で31%
車載向けは7%くらいですが、今後のEV(電動化)、自動運転になるとより多く使うようになると言われています。

②半導体の機能別だと
メモリー(DRAM、フラッシュメモリ[データ保存]など) 約28%で一番多くて、
ロジック半導体 約26%
マイクロ半導体 約18%

欧米各国がいま重視しているのはロジック(演算用)と呼ばれる半導体の生産拠点で、ロジック半導体は「頭脳」の役割で、この先端製品を作る技術を持つのはTSMC(台湾)など一部の企業です。
それで、自前の生産能力を持ちたい日本含めた欧米の経済安全保障上の理由でTSMCなどの工場の誘致合戦になってます。

③半導体の出荷先だと
半分は中国(55%)と圧倒的で、スマホ、パソコン工場が集積してるのが理由で、中国での自給率は2割程度で、2015年の中国製造2025で、半導体需給率を70%にする目標を掲げて、巨額に投資してます。



基本:ファブレスとファウンドリー

iPhone で有名な アップル
画像処理半導体のエヌビディア
は、工場は持たず、生産を外注してます。

工場(ファブ)を持たない事をファブレス経営といいます

設計から製造まで自社で行う企業は70%
製造受託会社(ファウンドリー)が30%。
と言われており、

ファウンドリーは2000年頃は5%だったので、非常に伸びてます。

半導体はかつて開発から製造までを一貫して自社で行うものでしたが、
製造の難易度が上がり、工場の建設予算も兆円単位に膨らんだ事で、外注化が進みました。
ただ韓国のサムスン電子は自社ブランドの開発・製造と、他社の製造受託の両方を行ってます。

このファウンドリーは、
台湾のTSMCが55%くらい
台湾のUMCで7%
韓国のサムスン 17%

米国のグローバルファウンドリーズ 5.5%
中国のSMICで4.7%

で、圧倒的に台湾が多いです。

台湾では今年も半導体の先端技術の設備投資をxx兆円単位で莫大に行っていて、
これは政治的な意味合いも兼ねていて、台湾を中国に盗られたら半導体の先端技術・設備含めて奪われる事になるので、
蔡英文 総統は、アメリカが台湾を守らざるを得ないようにしてるとの見方ができます。



基本:前工程、後工程

半導体部品ができるまでの工程は「前工程」と「後工程」に分けられます。

「前工程」ではウエハー上に回路を形成します。
「後工程」はチップを部品に仕上げます。

前工程では、ウエハーと呼ばれる板の表面に、露光装置(後述)で回路図を焼き付けます。
その回路図に沿って不要な部分を薬品やガスで削り取ったり、ゴミを洗い落したりの工程を繰り返して複雑な回路を作ります。

この回路幅のサイズはウイルスの1/10で、原子レベルになっていて、
(ナノ:10億分の1)
先端半導体だと、最小寸法は10ナノメートル以下。ウイルスの1/10より小さい。

後工程は、黒くて四角い部品を作る工程で、回路が形成されたウエハーを薄く削って、1枚1枚のチップに切り分ける。電極をつけ、樹脂でパッケージングするという工程を経ます。
フォトマスクによる半導体回路作成



基本:作り方と先端技術

半導体の作り方を、アップルのiPhone を例に取ると、

半導体回路の設計データは、アーム社(イギリス ソフトバンク傘下)が販売しており
アップルは、アームから設計データを購入して半導体を開発します。

そして台湾のTSMCのような製造受託(ファウンドリー)に半導体チップの生産を委託します。
そして半導体チップはアジアの製造受託サービスで組み立てて iPhone は完成します。

半導体工場で1枚のチップを製造するのに400~600の工程が必要で、
その工程を経て基板上(シリコンウェーハ)に電気の流れ道の回路を描いて(露光)、基板を1つ1つ切り離して樹脂に収めていきます。


【露光とは】
この電気の流れ道の回路を描く、「露光」というのが先端半導体での一番キーとなる技術で、
露光とは、写真の工程だとリソグラフィーで設計図を光でパシャっと印刷するみたいな工程だと考えれば良いかと。

具体的には、基板上にガラス板を通して光を当てて、複雑で微細な回路を焼き付けます。

00-2

00-1

最先端では数ナノ(ナノ:10億分の1)メートル単位で回路の通る道を作るんですが、
東京ディズニーランドの敷地に、1ミリメートル程度の幅の道を描くようなイメージです。

極端紫外線(EUV)露光っていうんですが、
EUVは、エクストリーム ウルトラ ヴィオレットの略です。

それまで「10ナノ」が「技術の限界」と言われていたものを
EUVの技術で7ナノ、5ナノ、ともっと細くできると。
EUV露光装置


この線幅を細くできると、スマートフォンでも大きさは一定ですが、

通信の情報量を沢山積み込みたいって時には、なるべく細くして詰め込んでいって
同じ情報量であれば、半導体チップもより小型化もできる。

5G、データセンター、自動運転などの通信のやり取りは、もっと増えていくので、どんどん情報量が肥大化してます。

オランダのASMLという会社がEUV露光装置を世界で初めて開発して、そして独占しています。



基本:原材料

半導体を作る材料で、基板となるシリコンウエハーは、
日本の信越化学工業、SUMCO、台湾メーカー が寡占してます。

下記が、シリコンウエハー
シリコンウエハー



シリコンウエハーの製法は、

・ケイ石を加工⇒インゴット⇒スライス

詳細には、ケイ石を溶かし金属材料に加工し、純度の高い円筒上のインゴットを作り
これをスライスして円盤状の薄い板にします。

SUMCOのHPより
SUMCO-HP


インゴット切断


まだ原材料については色々あるんですが、飛ばします。




自動車の半導体不足の要因

世界で圧倒的に半導体生産をしているのは、台湾のTSMCなんですが、

tsmc


アップル、ルネサス、エヌビディアなど世界各国から製造を受託していて、
台南の工場は5ナノメートル以下の先端品を生産する拠点となってます。

apple


ルネサス


nvidia


2020年から2022年の今になっても自動車業界は半導体不足に悩まされています。

上述の半導体不足、去年3月の記事の中にも記載したんですが、
「自動車」の半導体が不足していたのは、「最先端ではない」(アナログ半導体)のが理由で、

TSMCの売上構成は、回路線幅が20ナノメートル未満の先端品が中心で
生産設備増強も先端分野が中心なので、
28ナノメートル以上の生産ラインは利幅が小さく、生産能力も増強されてこなかったからです。

去年2021年に音楽のコンサートでペンライトが足りないって事があったそうで、
あれって音楽に合わせてペンライトが光るらしくて、皆が同じ色に変えてる訳じゃなくて、
センサーでお客さんとやりとしてて、半導体が足りないからって理由だったそうで、
そんなグッツにまで半導体が使われてるのかい!と。
ゲームの任天堂SWITHが足りないってのだって、半導体が足りないって事です。


ロジック半導体(演算のCPUみたいなの)の生産能力を地域別にみると、最先端の生産ラインは台湾に偏っていて
回路線幅10ナノメートル未満の製造ラインの9割は台湾にあります。


日本では、
TSMCを誘致する熊本工場では、24年末量産開始ですが、「22~28ナノ」です。
10年前に確立した製造技術で、最先端ではありません。

半導体の前工程でルネサスエレクトロニクス(日本)が、シリコンウエハー(基板)を使った半導体の生産にいち早くこぎつけたんですが、半導体の性能を左右する回路線幅は40ナノで足ふみのままなんです。
ロジック半導体では、日本の回路微細化は40ナノメートルで止まってしまってました。熊本はまあ少しだけ進んだだけ。

米国では、
TSMCを誘致して2024年から操業ですが「5ナノ」だし、
サムスンも2024年後半から操業だと、「3ナノ」。スマホ用などで、投資規模は1.9兆円です。

日本に誘致する技術は最先端とはほど遠いんですが、
自動車とかでは、先端半導体を使う事が無いってのが理由だとは思いますが、少し寂しいですね。

あとは日本は、スパイ防止法も無いんで、スパイ天国って事で先端技術は導入できないんでしょうね。




横道にそれそうなので、この辺りで半導体の基本は終りにして、
半導体メーカーの4-6月の四半期決算を見て傾向がハッキリしたので、深堀してみます。



半導体の決算から分かる未来

上述した通り、半導体は最終の搭載する製品によって需給バランスに差がでて、
一言に半導体といっても製品によって、メーカー、工場、製造ラインが大きく異なります。

それが今回の4-6月期の日米の半導体メーカーの決算でハッキリとしました。
分かった事は、半導体の中でも明確に減速してる「分野」があるという事です。

日本では、
【好調】
・レーザーテック
は凄く決算がよくて
前期は50億円以上の超過達成
前年比25%増益、今期も29%増益
連続最高益

一方で、
【不調】
・東京エレクトロンは
営業益17%減益

01_東京エレクトロン企業情報1-1




米国では
【好調】
・アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
の売上の伸びは、ザイリンクス(Xilinx)買収もあるんですが、
4-6月期70%増になってると、
7-9月のガイダンスでも、売上は減速はするものの50%以上伸びると。
やはり、伸びてる会社は伸びてると。

一方で、
【不調】
・マイクロンテクノロジーズ Micron Technology
・エヌビディア
ガイダンス(業績の見通し)を引き下げてます。


AMD:週足チャート、企業情報

03_AMD週足

03_AMD企業情報1
03_AMD企業情報2

03_AMD企業情報3

03_AMD企業情報4

03_AMD企業情報5

03_AMD企業情報6


エヌビディア 週足、企業情報
04_エヌビディア週足

04_エヌビディア企業情報1
04_エヌビディア企業情報2



東京エレクトロンは、決算発表の資料にて、一部先端半導体もやってるんですが、DRAMという一時的にデータを記憶するメモリが想定以上に悪化していると。

マイクロンテクノロジーズもメモリの最大手で、メモリー関係の半導体生産に特化した企業で、
エヌビディアも、パソコン用の電子部品が需要減が原因だと。

要は、業績悪化にて共通してるのは、少し前までは、半導体不足で大変だったんだけども、
先端品では無くて、市中に出回ってる「パソコン」の汎用タイプのDRAMです。

何でかというとパソコン向けは、2020年に巣籠消費、テレワーク需要でパソコンが伸びました
それが、2022年に入って前年割れ。
パソコン向けのCPU、GPUの使用が減速してきた
仮想通貨のマイニングのGPUが相当減速している。

その結果、エヌビディアが5-7月の売上予想を下方修正してきてます。
当初は20%以上伸びる予想が3%しか伸びてません。


この1ヵ月で、グロース株が凄く戻ってきていて、戻りが良い銘柄と、戻りが悪い銘柄が差がでてきていますが、
半導体株では、このきっかけとなったのが6月30日に発表されたマイクロンテクノロジーズの5月までの3ヵ月の決算で、見通しが悪いんだけども、市場予想よりは悪くなくて、PER10倍割れならば買っても良いだろうと。
それで、マイクロンテクノロジーズも買われたし、AMD、エヌビディアも買われました。ここが大底だと市場は判断した。

ところが、8月に入って、マイクロンが予想よりもDRAMが悪いと言い出しはじめて、エヌビディアも、パソコン向け、ゲーム向けのGPUが悪いと、AMDの4-6月期決算でも、パソコン向けは今後減速すると言い始めました。

6月30日を大底にして、上がってる銘柄だと20%以上上昇しましたが、このように悪い材料が出て来たんで、1回利食いだと。
それで今になってるというのが、主力どころの半導体の株価の経緯かと。


DRAMの不調の一方で、企業向けのサーバークラウドサービス向けのCPU、GPUは依然として好調です。

その裏付けとして、
マイクロソフトの決算を見ると、マイクロソフト アジュール(※)は、前年比40%増で、為替のドル高デメリットを除いても、46%も伸びてる。
要は、クラウドサーバー向けや、先端分野のロジック半導体は伸びてる。
※Microsoft Azure 
Amazon のAWS(Amazon Web Service)
GoogleのGCP(Google Cloud Platform)
と並ぶ、人気のクラウドサービス

amazon-azure


つまり、この景気の中でも40%伸びてる分野があるって事です。
これは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が減速しておらず、
リモートワーク導入の企業が増えてるので、クラウドサービスの需要が高くなってるって事でしょう。

そうなると、その設備投資は続いているというのは、半導体需要としては大きい話です。



シェア100%企業の強み

あと、設備投資での需要増が一番目立つのがレーザーテック

ここではじめて半導体の微細化に必要不可欠なEUV露光装置を説明した意味が出てきますが(笑)

まず、ウエハーに回路を焼き付ける露光装置の中でも、先端分野のEUV(極端紫外線)使用の装置を供給できるのはオランダASMLだけです。

02_ASML企業情報1
02_ASML企業情報2
02_ASML企業情報6

ASML-装置


「地球上で最も複雑な機械」とも言われ、高額なものは1台200億円を超えます。

半導体はクリーンルームで作りますが、ゴミがあってはダメで、
10ナノでも、目に見えないレベルのゴミが許されなくて、3、2ナノになると、さらに目には全く見えないレベルでも
EUV露光の工程で、フォトマスク(半導体回路の原版)で露光する時に、そのゴミがウエハーに写ってしまいます。

レーザーテックは、このEUV露光装置の欠陥の検査装置でシェア100%です。

要は、ASMLの装置で露光して、その検査ができるのはレーザーテックの装置だけ。
これがこの2社の圧倒的な強みです。

レーザーテックの製品:
lasertec


レーザーテックは、ロジック半導体の大手3社
・TSMC
・インテル
・サムソン
が大口ユーザーなので、

かなり前倒しで、フォトマスク検査装置の発注があると想像できて、

6月末の受注残が3000億円以上で、
来年1年後2023年6月末の受注残が5200億円を超えると 凄まじい規模 になってます。

前倒しで受注するというのは、ここに依頼しないと確保できないという事なので、かなり前倒しで発注してきていると想像できます。
EUV光を使った3ナノ、2ナノでも最新版のフォトマスクの検査装置は、シェア100%ですからね。

今期2023年の売上見通しが1400億円の会社が、
受注残が1年後には5200億円になると。

レーザーテック業績

「最先端の分野」の半導体設備投資というのは、依然として強いと言えます。

半導体でも用途によって明暗がクッキリと別れている。
設備投資でも最先端の分野は長期の投資計画が動いてるって事です。

レーザーテック 日足チャート
00_レーザーテック日足

週足チャート
00_レーザーテック週足


これで2013年頃に200円以下だったレーザーテックの株価が、
2022年年初に3万5000円を超える実に150倍以上の株価になったかが理解できるかと。(私は当初この凄さに気付く事が出来なかった事で、製造のもっとも川上にある半導体を理解しないとダメだと思いました)

月足チャート
2017年~2022年8月
00_レーザーテック月足


2012年~2018年8月
00_レーザーテック月足2


半導体 後工程の企業

レーザーテックと同様にテスト工程の装置を提供してるのは、

アドバンテストで、半導体試験装置で世界大手。
非メモリー用中心でパワー半導体(※)試験装置大手を買収したりしてます。

(※)大きな電流を扱うことができる半導体です

ここも今回四半期の業績好調です。

何年も前に聞いた事があるのは、
うちは単なるテストですから・・・と元々はそんなに儲けて無かったのが、
2018年頃からそれが急に儲かって仕方ないと。

何でかというと、スマホがどんどん進化して、当時4Gのスマホになって、以前のスマホに比べて検査工程が増えたらしくて、
2度にわたって検査するとか、1度に検査がすごく長いそうです。

車載向けで、どんどん半導体が車に載るようになってきて、
スマホならば故障しようと文句言やいいけど、
車載は命にかかわるから、厳密に検査するようになったので、
結果収益が上がるようになった。それ以降非常に伸びが続いている。


テラプローブ
決算プレイをした銘柄ですが、翌営業日11%も上昇しました。

ここも半導体テスト工程の受託会社ですが、非常に決算良くて、
車載向け5G基地局 ロジック製品の受託量増加してました。
情報交換してる人から聞いた銘柄です。

車載向け、5G基地局 ロジック製品の受託量増加が大きく寄与してますが、
アドバンテストの好決算から十分に決算が良い事は想像つきます。

各装置の市場シェアを見ると1位企業が5割超を押さえるケースも多くて、工程単位での寡占が進み多くのガリバー企業が生まれてます。

日本では、このアドバンテスト、ディスコ(ダイサーと言って、チップを切り分ける シェア65%)、TOWA(モールドプレスといって樹脂で封止めする シェア28%)のように後工程は、オーサット(osat )という後工程の専門業者が大きな発注先になります。

※ Outsourced Semiconductor Assembly & Test
前工程のファウンドリーと同様に複数社の仕事を請け負って、大量生産型のラインを構築してテスト作業含めて受託する企業群をOSATといいます。
具体的な作業は、半導体ウェーハからチップに切り出した後にプラスチックモールドに封止してテストまで終え、完成品を作る業者のこと

osat

オーサットはオーナー会社が多くて、そのオーナーの半導体市況に対する相場観で、発注を大きく増やしたり減らしたりします。
今、先行きはデバイスの在庫調整の話が出てるんで、半導体設備装置 減速の話がでてるんで、発注が少しずつ減速してアドバンテストは業績は良いんですが、株価がパっとしないのは、そのあたりの状況が反映されてるのかなと。



新技術 ペリクル

さらにその先3ナノが今年これからと来年、再来年と開発段階から量産に向かっていきます。
10ナノの壁があったように、2ナノの壁があるらしくて

例えば、三井化学という会社は
ペリクル(防塵カバー)という技術をASMLと開発して、

ペリクルは、フォトマスクの表面に薄い保護膜で、ホコリ、傷を付き難くします。
フォトマスクに露光する時に、そのゴミがウエハーに写らないようにって事なのかと。

三井化学は、2019年5月にASMLとEUV向けのテリクル事業でライセンスを結んで21年の5月に商業生産を開始してます。

米インテルは、アリゾナ州に建設する工場で、EUV露光を導入予定で、ペリクル実用化にメドが付いたのが理由かも?と言われてます。
すなわち、まだ先ですが、2ナノクラスの量産が開始されると、三井化学に半導体の利益が乗ってくると。

国内では旭化成がペリクル事業をやってましたが、三井化学はこのペリクル事業を今年5月に買収しております。
TSMCが2ナノ向けの露光装置の発注をしたという報道もでてます。

三井化学 週足チャート
06_三井化学週足

06_三井化学企業情報1


ここでも、レーザーテックはペリクル付きのEUV用マスクの検査は同装置でしか行えないので、ここでも日本の技術が生きてきます。

ペリクル

2ナノだと、2024~2025年くらいになるので、そこまで先でも無いです。

課題はEUVペリクルの使用が必ずしも露光工程の歩留まり向上につながるとは限らないリスクと
ペリクルを使用した場合、透過率はペリクルなしの時と比べると低くなり、露光に時間がかかる可能性があるそうです。

ただしアナリストによると、そこまで微細化しなくても半導体を積み上げる 積層化 でいいじゃんって言ってる人もいる事は頭の片隅に置いておいた方が良いかと。


まとめ

かなり長くタイピングしたので、疲れた・・

ちゅうか、コメントや感想くれる方以外は有料でも良い気がしてきた・・・
まあそんなのやって無いので、等価で情報交換できる方は連絡欲しいです。

では、一部の経緯はすっ飛ばしてまとめると、
半導体の需給だと

用途別だと、
供給過剰なのは、パソコン
やや過剰なのは、スマートフォン、家電
やや不足してるのは、車載向け、データセンター向け
不足してるのは、産業機器

種類別だと
供給過剰なのは、パソコン向けのメモリー、マイコン
不足してるのは、先端ロジック半導体、パワー半導体、アナログ半導体(車載など)

(あくまでも私の視点ですので、損こいても一切知りませんが)
押し目でどこを買えば良いかというと、
AMD、エヌビディアのようなバックに最先端半導体のTSMCに発注してる銘柄はありかと。

TSMCの4-6月期のハイパフォーマンスコンピューティング向け要はサーバー向けの売上は50%伸びてるので、
これがAMD、エヌビディアの売上のベースになってます。

TSMCの生産能力の向上が好調に進んでるので、
TSMCから半導体を調達している銘柄は販売力が十分にあると考えてよいかと。



ただし、これって単なるファンダメンタルズの話であって、

株価はファンダだけで決まる話じゃないので、利上げ観測が高まればハイテク分野の半導体銘柄なんて売られるし、リスクオフになりゃ、ファンダが良ければ買われます。

今日8月21日で夏休みは私は終りです。

最後の1日はゆっくり過ごそうかと。

割と長めにタイピングしたので、せめて感想だけでも聞かせてくれたら幸いです。


では、では。良い1日を。

ちゃんちゃん。