どうもローンイマイです。



今の現状では、コロナになって死ぬ人より 政府の誤ったマクロ経済政策で死ぬ人の数の方が圧倒的に多くなると私は予想してます。


風俗店も相当な数が閉店したり、休業したりです。


下手すると鶯谷の韓デリがこれで無くなってしまう可能性すらあります。




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随分前に紹介した本

経済政策で人は死ぬか?
公衆衛生学から見た不況対策 (日本語)
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と、今回紹介する

高橋洋一さんの著書
日本の「老後」の正体 (幻冬舎新書)


は、今の政府の経済対策がどうなのか?知るべき上で参考になりますので、気になる方はご一読下さい。




まず、結論から言いますと

今の政府のマクロ経済政策は完全に誤っており、


当時、麻生さんが首相時代の


リーマンショックの時と完全に同じ轍を踏みそうな状況です。







我々も事前に政府の政策が誤ってる事が分かれば


自分の身を守る為にどうすべきかの対策が立てられます。



国に頼る事はせずに、


そんなヒントになればと思い以下を読んで下さい。





過去、どういうマクロ経済対策が正しいのかとか、何回か記事にしてきましたが、


以下、私も一通り読んで上で正しいと思った記事を丸々引用します。



ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンから講義を受け


世界恐慌を研究して、どうすれば世界が恐慌からいち早く抜け出す事ができるかの研究をしていて、実際にリーマンショックの時のFRB(米の中央銀行)のトップ(議長)で、当時の世界経済を救った人(と個人的に思ってる)世界的にも有名な経済学者 ベン・バーナンキさん


の教え子だった


元財務官僚で経済学者の 高橋洋一さん


の著書の引用です。



私もノーベル経済学賞を受賞したような経済学者の話してる事が正しいとほぼ考えてますが、そのノーベル経済学賞者から教えを受けた日本だと高橋さんの言ってる事が一番腑に落ちて納得してます。








2020/04/06

【緊急公開】日本政府はリーマン・ショックと同じ轍を踏むな!非常時にはなぜ大規模経済対策が必要か?なぜ誤った経済政策は人を殺すか?



アメリカ市場では、今後30日間の株式市場の予想変動範囲を算出し、「恐怖指数」と呼んでいる。過去のリーマンショック時には90近くまで上がった。NY同時多発テロ、アジア経済危機、ギリシャ危機等の時には、50近くまで上昇した。

今回の新型コロナウイルス騒ぎでは、3月18日に85近くまでに上がった。リーマンショックとほぼ同じであり、アメリカの投資家の恐怖心を反映していると言えるだろう。さらに、ブラード・セントルイス連銀総裁は3月20日、雇用の悪化はリーマンショック以上で失業率30%、と同時にGDPは50%減もありうるとしている。

新型コロナウイルスの封じ込めには、当面の行動規制が必要になるが、これでは経済活動が成り立たなくなってしまい、リーマンショック以上の大きな経済ショックをもたらすと予想されているわけだ。

こうした事情を反映し、日米英の株価は異常事態とも言える急落を見せている。ここ3,4年の株価上昇を、一気に吐き出しているかのようだ。

01_日米英の株価指数


こうした中でアメリカでは、当初GDPの5%に相当する100兆円規模の経済対策が言われていたが、ここにきて、GDPの10%にも達する200兆円という数字も出始めている。それほど今回のコロナショックが経済に与える影響は大きいのだ。

そんな中、新型コロナの経済への悪影響に対する日本政府の危機感が相変わらず鈍い。3月19日、麻生太郎副総理兼財務相は、経済対策について、「現金給付や消費減税は財務省で検討していない」と否定的な見解を示している(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200319/k10012339661000.html)。

そのロジックは、リーマンショック時に現金給付の効果があまりなかったことと、赤字国債の増発を懸念している、というものだった。

また現在、政府与党で検討されている経済対策では60兆円という数字が出ているが、よく見れば、これは「事業規模」だ。いわゆる「真水」ではなく、数字がかさ上げされているので、GDPへの効果はそれほどでもない。「真水」だとせいぜい20兆円程度だろう。

今のところ、消費増税とコロナショックがダブルパンチとなっている。しかも東京五輪中止が加わってトリプルパンチになる可能性もある。それに備えるために、一刻も早く、3月中の予算修正というこれまでにやったことのない「荒療治」を使ってでも、早めの経済対策が望まれていたが、4月中の補正予算とない、事務作業は遅れに遅れている。他国のスピード感からみると、日本は情けない。

・・・新型コロナの問題が発生して以降、私はそんな提言を、各種媒体を通して続けているが、各提言の根拠がわからない読者諸氏もいることだろうと思われる。そこで、それらの私の提言の根拠となっている前提知識を、私の既刊『日本の「老後」の正体』の該当箇所を無料公開することで、紹介したいと思う。

その目的は、心から日本政府に正しい経済政策を採ってもらいたいがたいがためである。誤った経済対策は、人を殺してしまう場合がある。その根拠についても解説したいと思う。正しい経済政策によって、多くの困難にある人たちが救われることを、心から願う。(嘉悦大学教授 高橋洋一)


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※次からが引用。『日本の「老後」の正体』は、生徒役の高校生と、指南役の先生(経済学者)との対話で話が進む本である。

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先生 リーマン・ショック直後、アメリカとイギリスの中央銀行は、景気後退リスクに対処すべく迅速に大規模な量的緩和政策(金融緩和政策)を行ったが、日銀はその影響を軽視した結果、対応が後手に回ってしまった。

高校生 そんなに日本の対応は遅かったんですか?

先生 実際には、対応にどのぐらいの差があったのか? それがひと目で分かるのが次の図7だよ。

02_各国中央銀行のBS




アメリカとイギリスの中央銀行は、すぐにバランスシートを拡大し、量的緩和政策(金融緩和政策)を行った。一方、日銀はバランスシートの拡大を行わなかったことが手に取るように分かる。実際、日本だけはほとんど量的緩和政策を行わなかったんだ。

高校生 ほんとだ! 日本だけ横ばいのままですね。でも・・・バランスシートって何なんですか?

先生 バランスシートとは、その企業の財政状態を示した会計報告書で、日本語に直せば「貸借対照表」っていうんだ。どういう「表」かというと、右側には企業が持っている「負債」が書き込まれていて、左側には「資産」が書き込まれているんだよ。

例えば、現在の日銀のバランスシートをザックリ説明すると、右側の負債が「日銀券」、すなわちお札であり、左側の手持ち資産が「国債」ということになる(次の図6)。

03_日銀のBS


これは現在、日銀が量的緩和政策を行って、市場から国債を大量に買い入れ、日銀券を支払っている(つまり手放している)ため、資産の側に国債が書き込まれ、負債の側に日銀券が書き込まれるというわけだ。

高校生 じゃあ、日銀のバランスシートには、金融緩和をやればやるだけ、左側の資産である国債の額が増えていって、同時に右側の負債である日銀券の額も増えていくということですか?

先生 そう、やればやるだけバランスシートが大きくなる。つまり、日銀の金融緩和の規模を見るためには、日銀のバランスシートのサイズを見ればいいんだ。

そしてリーマン・ショック直後の各国が採った経済対策の差が、どのような結果を招いたかというと、次の図8を見れば顕著だ。これはリーマン・ショック前後での日英米の予想インフレ率の推移を示したものだよ。

04_各国予想インフレ率




予想インフレ率とは、社会全体が、その国が今後どのぐらいのインフレになると考えているかを数値化したものだ。図8では、予想インフレ率の数値を出すに当たって「BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)」を使用しているよ。

高校生 BEI……?

先生 BEIとは、普通国債と、物価に連動して価格が調整される国債「物価連動国債」の流通利回りの差のことを指すんだよ。これが経済の今後を予想するのに役に立つんだ。

高校生 どうして、それで、経済の今後を予想できるんですか?

先生 なぜかというと、理由は物価連動国債の特性にある。2004年に日本でも導入された物価連動国債は10年後に元本が償還されるものだが、その元本は物価の上昇率に応じて増える。つまり、投資家は、10年後の物価を予想しながら購入額を決めているんだ。

高校生 10年後の物価ですか? そんな先の景気がいいかどうかなんて分からないですよね……。

先生 その通り。でも将来の景気をみんなが予想するからこそ、意味があるんだ。

すなわち、投資家の頭の中にある「今後の物価変動の予想」が織り込まれた、この物価連動国債の流通利回りを見れば、市場が今、物価の変動をどのように予想しているのかが分かる。ゆえにBEIが、予想インフレ率を示す数字として効力を発揮するんだ。

高校生 そっか……みんなが将来を予想して出すものだから、予想インフレ率なんですね。

先生 図8を見ると、リーマン・ショック前後から日英米すべてで、予想インフレ率が大きく低下してデフレ不況の危機に陥っているよね──つまり、予想インフレ率が0%以下にまで大きく下がっている。

ただ、この予想水準だけを見ても、すぐに大規模な量的緩和を行った英米と、対策を取らなかった日本では差がついているよね。日本だけがプラスの水準に戻ることができていないだろう? 実際にその後、英米ともにデフレ不況に陥らなかったのに対し、日本はデフレ不況のどん底へと沈められてしまったんだ。

高校生 本当ですね……。

インフレとデフレ、どちらがいいか
高校生
 物価が上がるインフレと物価が下がるデフレ。聞いた感じ、モノが安く買えるデフレのほうがよさそうな気がしますけど……。

先生 ふふ、逆だよ。ほどほどのインフレが望ましく、デフレはまったくダメ、といえるかな。

物価が上昇するインフレの状態は、適度なラインまでなら景気の回復や雇用の増加につながる。一方、物価が下落するデフレという状況は、景気に対してマイナスの影響しかもたらさないんだ。

高校生 物価の上げ下げは、そのまま景気の上げ下げにつながるってことなんですね。

先生 そう考えれば難しくないよね。あと、インフレとデフレの良し悪しを、景気を手っ取り早く表す「失業率」の観点から見てみよう。

次の図9は縦軸が失業率、横軸がインフレ率となっており、1971年から2011年までのそれぞれの数値を点として配置したものだ。図の中に引かれている線(A線)は、散らばって見える各点を、平均的に一本の線上に集めると、だいたいこの辺を通るイメージになることを示すものだよ。


05_インフレ率と失業率

ここから分かることは、インフレ率、すなわち物価が上がれば上がるほど、失業率は低下し、逆に物価が下がれば下がるほど、失業率が増加する。つまり、物価が上がってインフレになれば失業者は減り、物価が下がりデフレになれば失業者が増えるってことだ。

高校生 モノが高くなったら景気がよくなって失業している人の数が減るってことか。うーん、やっぱりピンとこないなぁ、モノが高いのに、仕事に就ける人が増えるなんて。

先生 モノが高くなったら景気がよくなるんじゃなくて、そもそも物価が上がる時は、景気が好転している時なんだ。逆に物価が下がる時は景気が悪化している時。こう考えると、すんなり腑に落ちない?

高校生 なるほど、順序が逆なんですね! 物価が上がるから景気が上がる、じゃなくて、景気がよくなって、消費が増えるから物価が上がる。その結果、失業者の数が減る。だからインフレがいい! うん、それなら分かります。

景気とインフレ・デフレの関係
先生
 景気とインフレ・デフレのメカニズムについて、もう少し詳しく説明しよう。

まず、「景気がいい」とは、その国全体の消費と投資が増加している時で、「景気が悪い」というのは、その国全体の消費と投資が停滞している時。これはもう説明したよね。

高校生 はい! 景気がいい時は、みんながたくさんお金を使ってるってことですよね。

先生 そう、国全体でお金が使われれば使われるほど、世の中に出回るお金の総量(¬=マネーストック)が増えるということも、もう分かるよね。

高校生 マネーストック……。聞き慣れない言葉ですね。なんかマネーサプライって言葉は聞いたことがあるんですけど?

先生 よく知っているね。マネーストックとマネーサプライは同じ言葉だよ。これは2008年6月に、日銀がマネーサプライ(通貨供給量)からマネーストック(通貨残高)へとその発表呼称を変えただけだよ。簡単に言えばマネーストックとは、国内に出回っている通貨(お金)の総量だと考えればいい。

このマネーストックの量は、景気回復にとって決定的に重要なんだ。マネーストックの増加率が、2年後のその国の景気動向「経済成長率」(名目GDP成長率)の9割を決めているぐらいだからね。それが分かるのが次の図5だ。

06_マネーストック増加率

高校生 マネーストック増加率と景気を表す名目GDP増加率の推移ですね……え、こんなに連動してるんですね?

先生 まあ、ある種当たり前ではあるけどね。消費や投資などの経済活動を行うには元手となる資金が必要なわけで、市中に流通するお金の総量であるマネーストックが増えたということは、その先で消費や投資が活発になり、景気が回復基調になるのは当然だからね。その逆もまたしかりだよ。

高校生 ただ、さっき「マネーストックの増加率が2年後の景気動向の9割を決めている」っておっしゃってましたけど、その根拠は何なんですか?

先生 「9割」の根拠は、2年前のマネーストック増加率と名目GDP増加率の2つの数字から導き出される相関係数にあるんだ。相関係数というのは、2つのデータがどれだけ関連性があるのかを示す係数で、マイナス1からプラス1までの間で表し、+1に近ければ近いほどより関連性が強いんだよ。

図5を見ると、相関係数0・91とあるよね? これはかなり強い関連性があるということになる。実際は、相関係数が0・9だから9割説明できるというわけではないけど、まあ感覚的にはそんな感じだと思ってもらえればいいよ。

高校生 なるほど、よく分かりました!

インフレが起こる経緯
先生
 また、日銀が金融政策によって供給するお金のことを「マネタリーベース」と呼び、その名の通り、世の中に出回るお金(マネー)の基(ベース)になっているものだよ。

高校生 了解です。

先生 これを前提に、例えばインフレが起こる経緯を説明すると、

①まず景気が好転し、その国全体でお金が活発に使われ始める。
 ↓ ↓ ↓
②お金が使われるほど国のマネーストックが増えていき、消費と投資が伸びる。
 ↓ ↓ ↓
③消費が伸びるとはつまり、商品に対する需要が増えるので、商品の価値、物価が上がり続け、インフレとなる。

※反対に、まずお金が増えると、その増えたお金を自分が得ようとして、みんながいろいろな商売を考え出す。その結果、景気がよくなるという逆の側面もある。

つまり、お金を増やすのと、景気がよくなるのは、原因でもあり結果でもある。

そのことが分かるのが次の図10だよ。

07_マネーストック増加率とインフレ率の推移

図10を見ると、マネーストックの増加率が増えた2年後に実際に物価(インフレ率)が上昇していて、インフレが起こっていることが分かる。

まとめると、次のようになるよ。

・世の中に流通するお金の量(マネーストック)が増える→景気が回復する(消費や投資が増えるから)→物価が上昇する(インフレが起こる)

・世の中に流通するお金の量(マネーストック)が減る→景気が悪化する(消費や投資が減るから)→物価が下落する(デフレが起こる)

強調しておきたいのは、景気が回復した結果、より綿密に言えば、景気が回復する過程で物価が上昇し始め、インフレが生じるということだ。あくまでも、インフレが生じるから景気が回復するのではなく、景気がいいから物価が上昇するというのが正しい順序なんだよ。

高校生 インフレ率が上がってる時は景気がいい時だから、求人が増えて失業者は減る……。うん、仕組みが分かると、当然のことだなって思えますね!

先生 ちなみに、失業率とインフレ率の関係を表した図9は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済学者アルバン・ウィリアム・フィリップスが発案したもので、彼の名から「フィリップス曲線」と名づけられているんだよ。

物価はどのように変動するのか
先生
 さっき、景気とインフレのメカニズムの中で、「世の中に流通するお金の量が増えると、物価が上昇する」と説明したよね。

高校生 はい。景気がいいから、世の中にお金がたくさん出回って物価が上がる、ですよね。

先生 じゃあ、お金がたくさん出回ると物価が上がるのは、どうしてだと思う?

高校生 それは、買い物する人がたくさんいるから……。つまり、買い手が増えるから?

先生 ご名答。世の中にお金がたくさんあると、みんなにそのお金が行き渡るため、経済活動が活発になる。その結果、お金を持っている人が買い手になってくれるという関係だ。すなわち、景気がよくなり、先行きの見通しがいい時、多くの人はお金を使い、商品やサービスの売れ行きがよくなる。

すると経営者は何を行うか? 答えは値上げ、だよね。値段を上げても売れ続けるからだ。これが社会全体で行われ、サービスや商品の値段が総じて上がるインフレという状態が生じるというわけだ。

逆に景気が悪いと、多くの人は節約しようとする。当然、商品やサービスの売れ行きが悪くなり、経営者は商品を売りたいがために、値下げする。

高校生 その結果、社会全体では物価が下がって、デフレになるってことですね。

先生 このメカニズムをザックリまとめると、物価というものは、「その国に存在するモノ・商品やサービスの総量」と「その時に流通しているお金の総量・マネーストック」との相対比で決まるということになる。

モノの総量に対して、流通するお金の総量が多くなっている時、モノの値段が上がるインフレが生じる。逆に、流通するお金の総量が少なくなっている時、モノの値段が下がるデフレが生じるということでもある。そのことを実証しているのが、図10だったんだ。

「いいデフレ論」?
先生
 バブル崩壊後に日本は長らくデフレ不況に苦しんだけど、当時、マスコミの間で「デフレは悪いことではない」とする「いいデフレ論」が生まれ、物議を醸したんだ。

高校生 ああ、それ分かる気がします。デフレってモノが安くなるから、買い物する時はお得ですもんね。

先生 その通りで、消費者目線で見たら「物価が下がるということは、モノやサービスが安く手に入るということなので、いいことである」というのがその根拠になっていた。

高校生 実際、デフレにもいいところはないんですか?

先生 その答えはノー。バブル崩壊後のデフレも、明確に「悪いデフレであった」と断言できるよ。

まず、価格が下がるからいいというには、所得が下がらないという前提が必要。でも実際には、その期間に所得は下がった。それと、「失われた20年」のデフレ下の不況は、その深刻度の高さから、多くの人の命を奪ったからだ。

高校生 デフレ下の不況が、人の命を奪った……?

先生 まず、次の図13を見て欲しい。

08_完全失業率と自殺率の推移

これは完全失業率と自殺率の関係を示す図だが、見ての通り、2つの推移はほぼ重なっている。すなわち、失業率が上がると自殺率も上がるんだ。そして、バブルが崩壊した1990年以降、失業率と自殺率が急増していたことが分かる。

高校生 ほとんど直角に上がってる!

先生 警察庁では、自殺者が出た際、その原因・動機は、家庭問題、健康問題、経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他に分けて扱っている。遺書などの裏づけ資料があり明確に推定できるものを、自殺者一人につき3つまで計上可能とし、慎重に統計をとっているんだ。

その結果、先に挙げた原因・動機のうち、経済・生活問題と健康問題以外が占める割合は、それぞれ大きな変動を見せていないことが分かっている。

しかし、経済・生活問題と健康問題は、年ごとに大きく変動し、その度合いは景気の悪化と密接に関係してるんだ。この観点から見ても、景気が悪化すると生活苦から自殺してしまう人が増えるというのは明らかだね。

高校生 うーん……生活が苦しいから自殺する人が増えるって、すごく悲しい話ですね。

先生 さらにこの図を見ていくと、1980~2014年の失業率と自殺率はほとんど同じ動きをしていることが分かる。具体的数値を見ると、景気が悪化し失業率が1%上昇すると、3000人程度自殺者を増やしてしまうということになる。

1990年以降の「失われた20年」の間、失業率の増加に伴い、自殺者数は年間8000~1万人ほどのレベルで大きく増えていたんだ。

高校生 データで見ると、物価の下落と言っても数パーセントの違いなのに……。デフレがもたらした不況が、すごく深刻なものだったって分かりますね……。

先生 それを前提に、景気や物価の変動を、改めて俯瞰して考えてみて欲しい。

「失われた20年」の間に起きたデフレが、日本にとっていいことだったのか悪いことだったのか。私は、自殺者数の増減は、その国の幸不幸をそのまま表していると思うんだ。

だからこの期間に、自殺者が増えたということは、すなわち、不幸な人が増えたということだ。そして、その原因の多くが「失業の苦しみ」だったことを考えると、「物を安く買える喜び」よりも「景気後退からくる苦しみ」のほうが勝っていたことになる。

高校生 なるほど……でも、バブル崩壊後のデフレが特別ひどかったってことはないんですか?

先生 いや、当時の物価の下落率は大体1%未満に過ぎなかったから、むしろ小規模なデフレだったんだよ。それでも、じわじわと人を苦しめ、多くの人を自殺に向かわせる凄惨な状況を生み出したんだ。

高校生 そう考えると、デフレって、マイナス1%程度のものすごく小規模だったとしても、ほんとに悪いことなんですね……。

先生 デフレをいいことだと言う人は、自殺者が増える状況を受け入れ、むしろ推進しているも同然だということを、私はここで強調しておきたいよ。

***

かくして、経済が危機的状況にある時、政府による間違った経済政策は、より一層の景気の後退をもたらし、引いては自殺者数を増やす効果を通じて、人を殺す効果さえ持っている。

コロナ禍にある現在の世界こそがその瀬戸際である。日本政府は今また、リーマン・ショック時と同じ轍を踏まないよう、果敢な経済対策を実施しなければならない。

その際、私が提言する経済政策は次の通りである。

・政府与党の対策は遅くてシャビー。100兆円基金を作ってその中でやるといえばいい。この手当は予算総則等をちょこっと改正するだけ。これで現金給付(政府小切手送付)、社会保険料免除、納税免除、(消費)減税を100兆円内で組み合わせればいい。これが、即効かつ実戦的な非常時政策。

・アメリカの経済対策がGDPの5%以上になることから、日本でも同規模の対策が必要と考えており、その際には、有効需要を短期間で作りやすい減税や給付金系の財政出動がいいと考えている。

・GDP比5%以上で可処分所得を広く増やすためには、消費減税、社会保険料減免、国民への現金給付が考えられるが、筆者は5%への消費減税(全品目5%の軽減税率を2年間限定で実施)と、国民1人あたり10万円給付(アメリカと同じような政府振出小切手を配布)という試案をテレビなどで披露している。

政府小切手は実務上配布出来ないとこれまで聞いていたが、やはりできるではないか。2枚のマスクを国民に届けるのはいいが、2枚の間に政府小切手を入れればいいだけだ。政府小切手は記名式なら本人以外は換金できない。

これであれば、いわゆる「真水」で25兆円規模であり、GDPの5%程度になる。これは最低ラインなので、状況に応じて100兆円まで拡大可能だ。

・10万円給付については、4月に入ってから補正予算で手当てするのではなく、3月中に「予算修正」で行い一刻も早く支給するのがいいと主張している。消費減税も、すぐ実施するために、現行制度の軽減税率を使って6月からの実施を言っている。

・同時に、年間80兆円ベースの金融緩和への復帰も提言しているが、これであれば、上記の財政措置を国債で賄っても、すべて日銀オペで日銀に吸収される。その結果、日本のマネタリーベースは増加するが、これは日米の金融政策が相対的に同じ緩和なので為替が安定的になるメリットがあるとともに、財政措置の財源が「マネタイズ」されるため、日銀に国債の利払いをしても納付金で帰ってきて、実質的に財政負担もなくなる。

また、これによって行き過ぎるインフレも生じ得ない。この金融緩和と同じであるが、100兆円基金の際、日銀引受を可能とする予算総則の改正をしてもいい。

※ぜひこの記事を多くの人に届けるべく、ツイッター等でシェアいただければ幸いである。


引用元:
https://note.com/waww/n/n0f9798f2d85f




引き続き以下も参考にして下さい。


2020/04/07 


「コロナの緊急経済対策」で日本の財政赤字が心配になったあなたへ~まったく問題ないこれだけの理由


前回の記事(【緊急公開】日本政府はリーマン・ショックと同じ轍を踏むな!非常時にはなぜ大規模経済対策が必要か?なぜ誤った経済政策は人を殺すか?)では、「非常時には、なぜ大規模な経済対策が必要か?」について解説したが、今回の記事では、「なぜ100兆円規模の経済対策を行っても問題は起きないのか?」について、該当する解説を、私の既刊である『日本の「老後」の正体』の中から無料公開することで解説したいと思う。(嘉悦大学教授 高橋洋一)






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※次からが引用。『日本の「老後」の正体』は、生徒役の高校生と、指南役の先生(経済学者)との対話で話が進む本である。
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お金が使われるとお金が増える

高校生
 世の中にお金が足りなくなってきたら、日銀がお金を世の中に回すことが大事……うーん。

先生 何が引っかかっているのかな?

高校生 その都度日銀がたくさんお金を出してたら、それこそ国にお金がなくなっちゃいませんか?

先生 ははは、面白い視点だね。その心配はご無用だ。本来中央銀行っていうのは、概念上どこまでもお金を生み出すことができるからね。

昔は輪転機という印刷機を回す必要があったけど、現在、市中銀行と日銀をつないでいる当座預金の取引は、電子的な扱いになっている。だから、印刷機を動かすまでもなく、市中銀行の当座預金に、概念上は無尽蔵に、しかも電子的に資金を増やせるんだ。

買いオペの際、日銀が市中銀行から国債を買い入れ、その対価としてお金を市中銀行の当座預金に振り込む時も、そういうシステムになっているんだよ。

高校生 なるほど、だからどこまでもお金を生み出せるんですね……。日銀ってすごい力を持った組織なんですね。でも、お金を好き放題増やしたとして、何か問題は起こらないんですか?

先生 君は本当にするどいね。もちろん、問題が起きる時もある。お金が増える分、物価が上昇するインフレが起こってしまうんだ。

金融緩和をするとハイパーインフレが起きる?

先生
 実際、「大規模金融緩和を行うと、ハイパーインフレが生じる」という説が、以前は根強くあった。

高校生 ハイパーインフレ? すごい強そうな名前ですね……。

先生 その印象通り、「ハイパーインフレ」とは、急激に進行する制御不能のインフレのことだ。この説を信じていた人は、黒田・岩田体制による大規模金融緩和が始まった時は、さぞ不安を覚えたことだろう。しかし、実際大規模金融緩和で、ハイパーインフレが起こっただろうか? ご存知の通り、そんな事実は一切ない。つまり、この説も間違いだったんだ。

私は随分前から「大規模金融緩和によってハイパーインフレなど起こらない」と説明してきた。

黒田総裁が日銀の総裁に就任した時に発表したのが、「インフレ率2%を2年間で達成するために、マネタリーベースを2倍に増やす」という内容だった。2という数字が3回出てくるので特に印象に残ったと思うんだけど、中でも驚かれたのは、「マネタリーベースを2倍に増やす」という点だね。

高校生 それって、かなりすごいことなんですか?

先生 マネタリーベースとは日銀が供給するマネーの量そのもののことで、つまり金融緩和の量を2倍にすると言っていたわけだからね。当然「そんなに増やして大丈夫か?」「制御できないインフレが生じないか?」という声が上がったけど、私には何の驚きもなかった。

高校生 それはなぜですか?

先生 まず、前回の記事の中で「マネーストック」と「マネタリーベース」という言葉が出てきたけど、マネーストックとは、国内に出回っている通貨(お金)の総量だと考えればよくて、日銀が金融政策によって供給するお金のことを「マネタリーベース」と呼び、その名の通り、世の中に出回るお金(マネー)の基(ベース)になっているものだと説明した。

高校生 そうでした。

先生 このマネーストックとマネタリーベースの関係は、次のように成り立っている。

マネーストック=マネタリーベース×信用乗数

「信用乗数」とは、日銀がマネタリーベースを1増やした時に、マネーストックを何倍に増やすかを示す数字である。ここで問題なのは、信用乗数が、その時の景気の状況によって変動するということだ。

ここで次の図14を見て欲しい。この図は、その時々の信用乗数を表したものだ。

09_信用乗数

1991年あたりが最大値で、12強ある。この12という数字は、日銀がマネタリーベースを1供給すると、世の中でそのマネーが12回転し、流通するマネーの総量は12倍に増えていたということを意味する。

そして、2003年あたりには信用乗数は半分の6くらいにまで低下している。すなわち、1991年と同量のマネーストックをつくるには、2倍のベースマネーを供給しなければいけないということだよ。

高校生 うーん、ちょっと難しくなってきましたね……。

簡単に言えばこれって・・・・・・、信用乗数が低下してしまっている時は、その分だけ多くのマネタリーベースを供給すればいいということですね。すごくシンプルな気がしますが……。でも、そもそもなぜ信用乗数って変化するんですか?

先生 なぜかと言えば、まず日銀がマネタリーベースを供給した後に、社会に流通するマネーの総量であるマネーストックが増えるのは、それだけ市中銀行が貸し出しを行うからなんだ。

では、銀行が貸し出しを増やす時とはいつか? 基本的には、銀行は「天気がいい時に傘を貸して、天気が悪い時には傘を貸さない」と揶揄されるように、景気がいい時には貸し出しを旺盛に行うが、景気が悪い時にはあまり貸し出しを行わないものなんだ。この銀行貸し出しの持つ特性が、信用乗数を変化させているんだよ。

つまりは、景気の悪い時にマネーストックを増やして景気をよくしようとしたら、それだけ多くのマネタリーベースを日銀が供給しなければいけない──大規模な金融緩和を行わなければならない──ということになるんだよ。

ここまでの話をまとめると次のようになる。

・マネーストック=マネタリーベース×信用乗数
・「信用乗数」は、景気がいいと上昇し、悪いと低下する。
・マネーストックを潤沢に保つためには、信用乗数が低下したら、その分日銀がマネタリーベースを多く供給しなければならない。
・逆に、マネタリーベースの供給量が不足してくると、必然的にマネーストックが減少することになり、消費や投資が減って景気が悪化し、物価が下落するデフレが起こる

というわけだ。

高校生 なるほど。

先生 黒田バズーカの時の具体的な数字で言うと、日銀の発表文には、「マネタリーベースを138兆円から270兆円に増やす」と書かれていたわけだが、2年でそこまで増やすわけだから、1年分で見れば70兆円程度の増加になる。これでは、せいぜい2%程度のインフレしか起こらないことは分かってたんだ。

高校生 それも過去のデータから、検証できたということですか?。

先生 その通り。過去のデータを見れば、金融緩和の程度によって、どのくらいのインフレが生じるかが、予測できるからね。

例えば、日本では2001~2006年の間の量的緩和政策によって、マネタリーベースを10兆円増やしたことで、予想インフレ率が0・3%程度上がっていた。それがリーマン・ショック以降は同じ10兆円の積み増しで、予想インフレ率が0・15%の上昇を見せている。

そこから逆算すると、予想インフレ率を2%程度に高めるためには60兆~80兆円のマネタリーベースの増加が必要になる。まさしく黒田日銀総裁が発表した70兆円と合致するのだ。

高校生
 すごい! ぴったりなんて天才じゃないですか。

先生 天才じゃなくても、金融政策の効果というものは、数字をちゃんと確認しておけば、かなりの精度で分かるものなんだよ。それができる人はうろたえる必要などなかった。

ちなみに、この数字を私が後出しでは言っていない証拠に、岩田規久男先生が安倍首相から副総裁就任の打診を受ける約一カ月前の2013年1月23日のダイヤモンド・オンライン上の記事(「ついに日銀がインフレ目標を導入1月22日政策決定会合の意味と効果」)において、「2%程度まで高めるためには、60兆~80兆円のマネタリーベースの増加が必要になる」という計算を出しているよ。

また、私のその分析は、岩田先生が日銀副総裁になる前に、直接岩田先生に伝えていた。そのことは、岩田先生が日銀副総裁を退官された後に書かれた『日銀日記』(筑摩書房)という本にも書いてある。

つまり「ハイパーインフレが起こる」「制御不能なインフレが起こる」と騒ぎ立てた人たちは、何の根拠もなく感覚だけで物を言っていたんだ。

国の借金1000兆円?

高校生
 今までの話で大規模金融緩和でも行き過ぎたインフレは起きないことがわかったのですが、でも、まだ日本経済には大きな問題があると思っていて……。

先生 うん。心配しているのは何?

高校生 日本にはすごい借金があるっていう話は、本当ですか?

先生 日本の「借金1000兆円」問題のことだね。

高校生 1000兆円って、まったく想像つかないです。大変なことですよね……?

先生 テレビや新聞では「日本の財政は危機的状況である」と伝えられているね。1092兆円から換算すると、863万円の借金が国民一人ひとりの肩に乗っている状態だとも言われてるからね。

高校生 国民一人863万!? どうしてそんなことになっちゃったんですか? やっぱり大変なんですね。そんな時に大規模な景気対策を行ってもいいものなのかなって悩んでしまって……。

先生 ははは、よく分からないことって余計に怖く感じるからね。「幽霊の正体見たり枯れ尾花って言う通り、幽霊かな? って思ってる影の正体が何なのか分からないうちは、「怖い、怖い……」って思い続けなきゃいけなくなると思う(笑)。

高校生 笑いごとではないですよ! 私、心配性なこともあって、将来が本当に不安なんだから……。

先生 ごめんごめん、申し訳ない。お詫びと言ってはあれだけど、じゃあここからは、「日本の借金は実は絶望的な話ではない」という話をしていくことにしよう。

高校生 え、絶望的な話ではない……ですか?

先生 そう。だからそんなに怖がる必要はないよ。一つひとつ幽霊の正体を解き明かしていくことにしよう。

高校生 よろしく……お願いします!

先生 最初に考えたいのは、「じゃあなぜ失われた20年という間に、日本の財政赤字の問題がこんなに問題視されるようになったのか?」だね。

答えは、「失われた20年」と呼ばれた間に、次の2つのことが同時に生じたからだよ。

①景気が悪化した結果、国の収入である税収(歳入)が減った
②景気を下支えするために、国の支出(歳出)である公共事業等の景気対策(財政政策)が増えたが、その財源として国債が大量に発行された結果、国の借金の総額(国債残高)が膨大なものになった

それで財政が悪化し、「これ以上の財政赤字の悪化を防ぐために消費増税は不可避」という報道がされ続け、実際1997年と2014年に消費増税が執行されたんだよ。

高校生 そんな状態なら、やっぱり消費税アップは仕方なかったんですね……。

先生 そういうイメージだよね。でも、前にも言ったけど、私は物事を決して印象では語らず、当然とされていることを、しっかりデータで分析することで真実を明らかにしていきたいんだ。

高校生 じゃあ、報道されてきたことが、すべて正しいわけじゃない?

先生 そうだね。まず私が主張したいことは、「国の借金を返すために、まだ不景気が回復していない段階で消費税を上げるのは誤り」ということだ。

高校生 でも、消費税を上げてお金を集めなかったから、日本の借金が増えちゃったんじゃないですか?

先生 実際はその逆だったんだよ。さっきも話したけど「日本は消費税を上げてきたからこそ、国の財政状況が悪化してしまった」と言えるんだ。まず次の図33を見てごらん。

10_プライマリーバランス対GDP比


この図から分かることは、バブルが崩壊して以降、プライマリーバランスが一貫して悪化傾向にあったということだ。

高校生 プライマリーバランス……ですか?

先生 「プライマリーバランス」とは「基礎的財政収支」とも呼ばれ、国や自治体の財政の健全度を表す指標なんだよ。単純に言えば、プライマリーバランスが黒字であれば財政赤字は減っていき、赤字であれば財政赤字が増えていくものだよ。

具体的には、次の式で表されるんだ。

プライマリーバランス=税収-(国の借金返済関連費を除いた)国の支出*

*─この場合の(国の借金返済関連費を除いた)「国の支出」とは、「国の支出全体から国債などに満期が来た時に元本を払い戻す資金(国債の償還費)や国債についた金利を払う費用(国債の利払い費)を除いたもの」=「社会保障費+公共事業費+教育・科学費+国防費+地方交付税交付金等」

つまり、プライマリーバランスとは、政府が公共事業費や社会保障費などに毎年使うお金である「国の支出」を、税収からどれだけ賄えているかを示すものなんだ。

高校生 学校の部活でいうと、部費が決められた範囲内に収まってるかどうか、ってことですかね?

先生 まさにそういうことだね。税収より国が多くのお金を使っていれば赤字であり、逆に、少ないお金しか使っていなければ黒字ということになるんだ。

高校生 でも、赤字になってお金が足りなくなった場合はどうするんですか?

先生 その時は、国債の発行、つまり借金によって補われるんだ。つまり、赤字が続けば続くほど国が返さなければいけない借金の額、つまり財政赤字が増えていくことになる。

逆に黒字が出た時は、そのお金が借金返済にあてがわれるから、財政問題は解決に向かうことになるね。だからプライマリーバランスは、財政の健全度を表す大切な指標なんだ。

高校生 じゃあ、プライマリーバランスを黒字にするように、政策を立てないとダメなんですね。

先生 まさに「財政赤字を解消し、健全な財政状況を築くために」という目的で、日本では消費税が1997年4月1日に3%から5%に引き上げられ、2014年4月1日に5%から8%に引き上げられたんだ。

しかし、予想に反してプライマリーバランスは悪化傾向に動いてしまった。
改めて図33を見てごらん。これは、バブル崩壊以降の日本の名目GDP、すなわち名目国内総生産の成長率(1年前)とプライマリーバランス対GDP比の推移を描いたもので、通常この2つがほぼ連動して動くものなんだ。

この図を見れば、名目GDP成長率が低下していて景気が悪化傾向にあった中で、2度の消費増税がさらに景気に追い打ちをかけたと一発で分かる。その結果、税収の基礎となる名目GDP成長率が減り、プライマリーバランスが悪化したんだ。

高校生 え? 改善させようとして行った消費税アップによって、何で逆にマイナスになっちゃったんですか?

先生 そもそも景気が悪化すると、全体の税収が悪化する傾向にあるからだ。

まず、税収とは「所得税」「消費税」「法人税」という3大要素から成り立っていて、具体的な内容は、概念的には次のようになる。

・消費税収=総消費量×消費税率
※消費税からの税収とは、総消費量に、その時の税率をかけたものである。そして総消費量は景気が悪化すると減るので、消費税収自体が減る傾向にある。
※ただし消費には恒常性があるので、個人の所得や法人の利益ほどには激しく増減はしない

・所得税収=個人の所得の合計×所得税率
※所得税からの税収とは、個人の所得の合計に、その時の税率をかけたものである。そして個人の所得は、景気が悪化すると減るので、所得税収自体が減る傾向にある

・法人税収=法人の総利益×法人税率
※法人税からの税収とは、法人の総利益に、その時の税率をかけたものである。そして法人の総利益は、景気が悪化すると減るので、法人税収自体が減る傾向にある

このように景気が悪化すると、3つの税収は減ってしまう傾向にあるものなんだ。

実際、バブルの崩壊以降、税収全体が減り、プライマリーバランスが悪化傾向にあった。

その状況で消費税の税率を上げると、消費税収のみは増えるかもしれないけど、景気の悪化に拍車をかけてしまい、所得税や法人税、つまり〝税収全体〟がさらに減少してしまうんだ。

高校生 えっ、消費税の増税によって税収を増やそうとしているのに、税収全体が減るなんてことがあるんですか?

先生 それが分かるのが次の図34だ。

11_税収の内訳と推移


この図は、バブル崩壊前後から現在までの、「消費税収」「所得税収」「法人税収」と「税収全体」の推移を表したものだよ。

バブル崩壊から一貫して景気が悪化傾向にあった2009年度までの期間において、消費税収だけは増えていて、特に1997年の増え幅が顕著だ。
一方、所得税収と法人税収は傾向として減り続けている。その結果、本来最も重要な「税収全体」が、差し引きで、如実に減り続けてしまっていたのが分かるよね。

これは、1997年の消費増税によって、消費税収だけは増えたが、景気低迷のために所得税収と法人税収が減ってしまったことが原因なんだ。

実際に消費税の増税がどのぐらい景気に悪影響を及ぼすかというと、消費税率3%の増税で経済成長率が1%程度低下するというほどの負のインパクトを持っているんだよ。

高校生 消費税を増やしたせいで、景気を悪化させて逆効果になっているなんて、ショックすぎますよね……。

どうすれば財政破綻を避けられるのか

高校生
 でも、日本が本当に財政破綻に向かっていないかどうかは、どうすれば分かるんでしょうか?

先生 それは、債務残高対GDP比が「どういう動きをしているか」を見れば分かるよ。

高校生 債務残高対GDP比?

先生 「債務残高対GDP比」とは、日本の借金の額・債務残高が、日本が1年に稼ぐ利益であるGDPの何倍になっているかを示す数字で、例えば、「その借金を全額返すとしたら、何年分の利益を充てなければいけないか?」が分かるので、「借金の危険度」を示す数字とされているんだ。

この、債務残高対GDP比が爆発的に増えていたら確かに危ないし、高い水準であっても、減少する方向であれば問題ない。

高校生 債務残高対GDP比の〝水準〟じゃなくて、〝動き〟を見るんですね。

先生 そうだね。もしも、増加の一途を辿っていたら、食い止めて減少方向へ向かわせればいいだけなんだ。

高校生 食い止めるには、どうすればいいんですか?

先生 さっきも話題に上がったけど、プライマリーバランスの赤字幅を縮小させるか、黒字化させることだね。

先生 それではここで問題です。すでに説明したけど、このプライマリーバランス対GDP比を大きくする(改善させる)には、何が必要だったかな?

高校生 それは、プライマリーバランス対GDP比は、1年前の名目GDP成長率に連動するという話でしたから……名目GDP成長率を上げればいい! ですね?

先生 ご名答。それが分かるのが図33だったね。

ここから導き出される答えは結局、債務残高対GDP比を減らし、財政の健全化を進めるためには、プライマリーバランスの赤字幅を縮小させるか黒字幅をより大きくするかで、そのためには、正しい経済政策運営によって、ちゃんと経済成長率を高く保つことが重要、ということになるよ。

***

かくして、財政赤字の悪化を食い止めるためにも、経済が危機にあるときは果敢な経済対策が必要になるわけだが、今回の新型コロナウイルス蔓延による大きな景気後退危機にある中で、私が提言する経済政策は次の通りである。

・政府与党の対策は遅くてシャビー。100兆円基金を作ってその中でやるといえばいい。この手当は予算総則等をちょこっと改正するだけ。これで現金給付(政府小切手送付)、社会保険料免除、納税免除、(消費)減税を100兆円内で組み合わせればいい。これが、即効かつ実戦的な非常時政策。

・アメリカの経済対策がGDPの5%以上になることから、日本でも同規模の対策が必要と考えており、その際には、有効需要を短期間で作りやすい減税や給付金系の財政出動がいいと考えている。

・GDP比5%以上で可処分所得を広く増やすためには、消費減税、社会保険料減免、国民への現金給付が考えられるが、筆者は5%への消費減税(全品目5%の軽減税率を2年間限定で実施)と、国民1人あたり10万円給付(アメリカと同じような政府振出小切手を配布)という試案をテレビなどで披露している。

政府小切手は実務上配布出来ないとこれまで聞いていたが、やはりできるではないか。2枚のマスクを国民に届けるのはいいが、2枚の間に政府小切手を入れればいいだけだ。政府小切手は記名式なら本人以外は換金できない。

これであれば、いわゆる「真水」で25兆円規模であり、GDPの5%程度になる。これは最低ラインなので、状況に応じて100兆円まで拡大可能だ。

・10万円給付については、4月に入ってから補正予算で手当てするのではなく、3月中に「予算修正」で行い一刻も早く支給するのがいいと主張している。消費減税も、すぐ実施するために、現行制度の軽減税率を使って6月からの実施を言っている。

・同時に、年間80兆円ベースの金融緩和への復帰も提言しているが、これであれば、上記の財政措置を国債で賄っても、すべて日銀オペで日銀に吸収される。その結果、日本のマネタリーベースは増加するが、これは日米の金融政策が相対的に同じ緩和なので為替が安定的になるメリットがあるとともに、財政措置の財源が「マネタイズ」されるため、日銀に国債の利払いをしても納付金で帰ってきて、実質的に財政負担もなくなる。

また、これによって行き過ぎるインフレも生じ得ない。この金融緩和と同じであるが、100兆円基金の際、日銀引受を可能とする予算総則の改正をしてもいい。

※ぜひこの事実を多くの人に届けるべく、ツイッター等でシェアいただければ幸いである。


引用元:
https://note.com/waww/n/n293d1d1ddb3e















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ちゃんちゃん~。





ホント憂鬱になりますね。。。