どうもローンイマイです。



前回の記事のつづきです。
http://loanimai-bigbust.net/admin/20200314-COVID19-toushi.html




3月9日のニューヨーク株式市場の大暴落は、コロナの影響よりも遥かに大きな原因があると記載しましたが、モヤモヤしてる人もいるでしょうから、続きを記載します。



多少の間違えがあっても責任取らないので、ケチ付けないでね。






株価大暴落の一番の原因

3月6日にOPECプラスの会合の結果が一番の原因です。(多分合ってますよ。)


詳細は後述します。



まあ、一部メディアでも報じてはいるのですが、どこの報道も浅いのでちょっと深堀して記載してみます。





原油と投資 過去記事一部

石油についての投資の基礎知識の記事は、過去何回も書いてます。


死ぬほど暇な人のみ読んでみて下さい。



ただし、どの記事ももう5年以上前に書いた記事ですので、時代は大きく変わってますので、その前提で読んで下さい。



サウジアラビア、イラン、アメリカ の関係とシェール潰し



原油と投資




投資について一部

投資の基礎知識 と、100%負けない投資術


仕手株


仕手株の手口「見せ玉」


今回、財務省の操り人形 麻生さんが相変わらず 減税反対とかですが、
いかにウソか
消費増税のウソ 税収弾性値






原油 基礎知識

株式投資する人にとっては、多くの投資に関連してくる原油の基礎知識はキッチリ把握しておく必要があるので、中学校の社会の勉強みたいですが簡単におさらいを。




完全に小、中学の教科書みたいですが、OPEC(石油輸出国機構) 基礎知識 から おさらいしましょう。






OPEC参加国

OPEC(石油輸出国機構)参加国について

 設立5ヶ国
・サウジアラビア
・イラン
・イラク
・クウェート
・ベネズエラ

 後に加盟した国
・リビア
・アラブ首長国連邦(UAE)
・アルジェリア
・ナイジェリア
・アンゴラ
・ガボン
・赤道ギニア
・コンゴ共和国


後述しますが、出たり入ったりの国もあります。




地図はちょっと古いですが参考程度に。
OPEC2


OPECのHPに記載ありますが、1960年に設立して、今年で60周年です。







OPEC脱退の理由

OPECのHPでは、エクアドルが今年に入ってから脱退してます。


OPECは石油価格を維持する為に、生産量の 増産・減産 で調整するのですが、

エクアドルが今年脱退しましたが、その理由は 「協調減産」 が出来ない からです。


サウジのような大産油国は、減産とか全然平気なんですが、ちょっとしか産油出来ない国は、協調減産すると、あっと言う間に国家の財政危機に直面しちゃうんですね。


エクアドルは世界の石油の1%で世界的シェアは大きくないですが、彼らの国にとって1%を供給できるのは大きい訳です。


なので、「サウジさん・・・すみませんが、協調減産しちゃうと国が持たないんで、脱退させて下さい!!」 って出たり入ったりの国が出てきます。








OPEC設立「本当の」目的

設立の本来の目的は、オイルメジャー 国際石油資本(セブン・シスターズ)に対抗して産油国の利益を守ろって事で作りました。



この辺りって 「このホントの意味」 は教科書じゃ載って無いんじゃないですかね?



自分達の国で産油してるのに、欧米列国のオイルメジャーに牛耳られて利益を根こそぎ持っていかれちゃてましたからね。


イランとアメリカが仲が悪いのも、元々ここからきてます。


欧米列国は、石油は我々のもので、他国が輸出して儲けるのもまかりならん!!ってジャイアン的な発想で、イランの石油を買ったら制裁するぞ!って当時から無茶をゴリ押ししてた訳で、

それに対抗しようってのは、ごく普通の流れだと思いますけどね。



イランと日本の関係が良いのも、小説から映画にもなった「海賊とよばれた男」を読むと分かりますが、


※水素燃料電池と原油価格の関係 で、「海賊とよばれた男」を記載ました。




セブン・シスターズ は、日本にとっても共通の敵だったからです。

そんな訳で、国際石油資本について、今一度おさらいします。






国際石油資本

欧米 アメリカ、イギリス、オランダ で、

1.スタンダード オイル ニュージャージー
 (現:米エクソンモービル)
2.ロイヤル・ダッチ・シェル (蘭&英)
3.アングロペルシャ(現:英BP)
4.スタンダード オイル ニューヨーク
 (現:米 エクソンモービル)
5.スタンダード オイル カリフォルニア(ソーカル)
 (現:米 シェブロン)
6.ガルフ石油(米シェブロン、英BP)
7.テキサコ(米シェブロン)

が、7シスターズ


現在は、

1.エクソンモービル(米)
2.BP(英)
3.シェブロン(米)
4.ロイヤル・ダッチ・シェル(蘭&英)
5.コノコフィリップス(米)
6.トタル(フランス)

のスーパーメジャー6社になってます。




そしてこの先新しい時代のスーパーメジャーに対抗して取って変わるんじゃないかと言われてる 「ニュー・セブン・シスターズ」が、OPECの中心国 サウジ、イラン を含む


1.サウジアラムコ(サウジアラビア)
2.ベネズエラ国営石油
3.イラン国営石油
4.ペトロナス(マレーシア)
5.ガスプロム(ロシア)
6.ペトロブラス(ブラジル)
7.ペトロチャイナ(中国)


になります。






OPECプラスとは?

OPEC加盟国に、OPECに加盟してない拡大メンバーを加えた連合を3年位前に作ったのですが、


非OPEC加盟国として、

・ロシア
・アゼルバイジャン
・バーレーン
・ブルネイ
・カザフスタン
・マレーシア
・メキシコ
・オマーン
・スーダン
・南スーダン

があり、これら合わせて 「OPECプラス」 が誕生した訳です。


ここに、天然エネルギー大国である ロシア が参加してる事がミソになってきます。




つまるところ、OPECは、サウジアラビアで、非OPECは、ロシア が仕切ってて、


要は、OPECプラスとは、サウジ と ロシア 2国による 原油生産量 の話し合いの場に過ぎないんです。










原油暴落と株価暴落

ここまでがやっと 原油の基礎の基礎 の話しです。(笑)




やっと本題に入ります。


3月6日にOPECプラスの会合の結果が、原油の大暴落になり、それが波及し ニューヨーク株式市場の大暴落に繋がります。




コロナの影響で世界的に景気後退で石油の需要が落ちているので、原油価格維持を目的にOPECでは減産を決めました。これが3月5日のOPEC臨時会合です。


それで、OPECプラスで、サウジはOPECで決まった減産をロシアに提案をしたんですが、この提案に ロシア は反対しました。これが3月6日です。これで原油価格が落ち始めました。




ちなみに、OPECの会合はOPECとは何ら関係のないオーストリアのウィーンで行ってますが、これは中立国って意味合いだと思われます。




この交渉決裂の後に、サウジも何故か 減産から一転して 増産 を宣言し、価格が下がろうが沢山売る事で対応するぞ!!と。 これが3月7日の土曜日です。





これで 原油価格は、25%の大暴落を起こします。


そして、ニューヨーク株式市場が開始する月曜日 3月9日の大暴落に繋がるって訳です。


WTIってニューヨークの指標が1バレル50ドルくらいだったのが、27ドルまで落ちました。




で記事にしてますが、この記事の少し前までは、1バレル100ドル程度の水準を保ってたんです。

2014年に 1バレル100ドルから、50ドルの半値に落ちたのは、サウジと、シェールオイルの価格競争によるものでした。







石油を減産すれば、石油単価は上がる

石油を増産すれば、石油単価は落ちる

こんな当たり前のセオリーを無視して、

なぜこんな非合理的な判断を下すか?

これはなぜか?






非合理的な判断(ロシア)

石油増産の非合理的な判断した理由ですが、

こういうのはメディアの紙面上には書けません。




まず、なぜロシアはサウジの減産提案を拒否したか?


これは幾つか言われてるんですが、その理由が複合してて、


ロシアの全石油会社がエネルギー省に減産に反対したそうで、先に記載したOPEC脱退の理由と同様で、少しでも多く売りたいからです。


あと、今の現状では、減産しても全然 原油価格が上がらないじゃん!それならば減産する意味ねーじゃんって意見が多かったようです。


で、なぜ原油価格が上がらないかと言う意見が出たのは、、OPECプラスとも無関係のアメリカのシェールオイルがシェアが奪いつつあるからです。


ここで減産しても、それはアメリカのシェールがシェアを広げて、アメリカの利益になるだけじゃん!って考えが背景にあります。

そして、アメリカのシェール企業を潰したい思惑があります。これは株価大暴落の要因に繋がるので後述します。




あと、プーチンさんの個人的な思惑も当然あって、プーチンが国民投票で憲法改正を言い出して、もうすぐの4月にも選挙が行われます。


5月9日にも第二次世界大戦の戦勝記念日の75周年をやるって言うんで、

安倍首相に是非出て欲しいと何度もプーチン本人から安倍さんに打診してるらしです。

(どのツラ下げて、なんでそんなのに日本が出席しなきゃならねーんだよ)


2024年にプーチンが辞めた後に、今後にどんな奴が大統領になるか分からなくて、下手に寝首を切るような奴が出ても、対応できるような憲法改正をやるつもりです。




プーチンさんとしては、憲法改正を乗り切って、戦勝記念日で強いロシアをアピールして、

なおかつ、ロシア国内のインフラ投資含めて景気を良くしたい意図があり、


そのタイミングで石油の減産なんて冗談じゃないってのが本音で、

1バレル50ドルを切ってる状況じゃ立ち行かないんで

サウジの要請なんて聞く訳も無く、増産に踏み切ったって意図はまず間違いないでしょうね。








非合理的な判断(サウジ)

サウジアラムコ 過去20年の中での最大の値下げを発表し、

サウジは、協調路線から一転して、値段を下げても、日量で 960万バレル だったのを 1000万~1200万バレル まで増産して多く売るよと発表しました。



これ石油の日量を見て投資してる人なんかは、ニュースを最初に見た時に 「何かの間違えなんじゃね?」 と思ったはずです。

普通、んな・・アホな。。。っ思うのが普通です。


これ本当か・・・・えらい事になるぞ。。と。




一方、サウジは、「ニュー・セブン・シスターズ」の一つ

「サウジアラムコ」 という国営の石油会社を昨年12月に上場して、



時価総額で世界のトップは、アップル、アマゾン、マイクロソフトって考えるでしょうが、

この アラムコ の上場で時価総額は、これらの企業の倍近くて、

2兆ドル弱(200兆円くらい)で 圧倒的な時価総額になりました。



ただし、この上場は、サウジの国内でしてますので、

これじゃ全然ダメで、海外のニューヨーク、東京、香港で上場させて

そこでキャッシュを得て、必要な国内改革の原資にする必要があります。




実際に、アラムコは、東京で上場させようって話が出てました。


これをやらないと例の(※)モハメド・ビン・サルマン(30代)現皇太子は、

国王の座を狙い、王位継承に基盤を固めるのにのに必要です。

(※)政権に批判的なジャーナリストのジャマルカショギ記者を殺害の事件


実際に、中東専門誌のミドル・イースト・アイによると、サウジアラビア当局が20人近いの有力王族を拘束したとの大激震が走るような記事を出しており、

この中には現国王の弟で最有力王族のスデイリセブンの一人のアハメド王子も含まれており、後継者争いに邪魔な王族を粛清するような動きが出てます。



だから、ロシアもサウジもたまた後に引けなかくて、合理的な判断としては本来減産すべきが、増産になったのが真実と予想してます。



非合理的な判断をしたんだから当たり前でですが、今回 サウジアラムコの株価は下がってます。







OPECの終焉

元々、OPECの中にもサウジの協調に付いて行けなかった国は多くありました。

OPEC設立して60年 、今回の事件は、OPECが実質的に破綻したのと同様です。

供給量の調整による価格調整が完全に破綻したんですから。。。


ただ、販売量を増やしてシェアの奪い合いを行う事で、アメリカも巻き込んで、原油の価格戦争は、今後際限なく下落する事が確定したのも同様です。


サウジとアメリカは友好国ですが、本来これはアメリカとも敵対する話なんですが、


アメリカ大統領選挙を迎える トランプさんは、石油の値段が下がるのはアメリカ国民にとって良い事だと容認姿勢がある事も、サウジは当然見込んでるはずです。


日本のみで見れば、石油価格が下がる事は良い事なんですが、グローバルな影響でマクロで見た時にはマイナスでしょうね。






サウジの価格競争の思惑

前述しましたが、石油が1バレル100ドルを超えてたのが、

2014年に1バレル50ドルまで落ちた時のサウジの思惑は、

1バレル60ドルまで下がれば、アメリカのシェール企業は倒産するだろうと。

俺は、まだまだ価格下げても大丈夫だぜと。価格競争を仕掛けました。



この競争結果は当時はシェールの粘り勝ちでした。

実際、アメリカのシェールは50ドルでも何とかなっちゃたんです。







超ド級の爆弾

じゃあ、サウジとの価格競争で、なぜアメリカのシェールが何とかなってしまったのか?

多分まだメディアで触れてる人は誰もいないと思うので記載すると、


本来、この価格競争で危険が伴うシェール企業にお金が回る仕組みがあるからなんです。


これが「ハイ・イールド債」ってやつで、


アメリカの市場ってやっぱり奥が深いんで、昔はジャンクボンドなんて言い方したんですが、要は危ない会社に高い金利でお金を貸す債権があるんです。


この石油下げによる株の大暴落の1番大きな原因はここにあるとみてます。


実際、私の友達で凄腕のファンド経営してる連中と話したら、やはり全く同じ意見でした。




この後に、シェール企業が連鎖で経営破たんを起こすんじゃないか?と予想する大投資家が多い事が影響してるだろうと。


アメリカのシェール企業って、債務比率が非常に大きいんです。


サウジ、ロシアが仕掛けた、アメリカのシェール企業との石油シェアの奪い合いで、シェールは採掘コストが高いのでシェール企業の「採算割れ」で潰す事を目的としたとみてます。


サウジですら、原油価格が1バレル40ドルを割ってくると採算割れになると言われてます。

自分達が採算割れを起こそうとも、それでも仕掛けてきた。。






リーマンショックの二の舞?

2008年のリーマンを彷彿とさせるんですが、

リーマンショックの時にサブプライムローンを証券化したCDO(※)って金融商品があったんですが、

※コラテラル  デット オブリケーション

これは、借金の束を集めてきて 共同債権(コラテラル)にして売るってのです。

その中に サブプライムローン って毒が混ざってた。



これ以前にも記事にしましたが、こんなヤバいやつを 格付け会社が AAA と格付けしてた訳で、

これは、格付け会社の収益は、格付けされる企業からお金を貰う事で成り立ってるからです。



このCDOに非常に似てて、今 CLO(※)ってのが売られてて、

※コラテラル  ローン オブリケーション
(デットをローンに変えただけ)


これは、サブプライム みたいな「不動産」じゃなくて、色々な会社の「社債」を組み込んだ金融商品で、これが非常に売れてるんです。


笑えない話なんで、具体的な日本の金機関名を出すのは問題あるんで避けますが、

日本の金融機関でも買ってる所が案外あるんです。


これ、サブプライムで問題になった、CDOと全く同じ仕組みじゃん。


当時、CDOが、危険があるけども、何故安全か?と説明されたかというと、

沢山の企業が含まれてるから、仮に100社の貸付先の不動産会社が含まれてたら、

全部が悪化する事なんて無いでしょ?

だから、安全なんです。。。




CLOの企業への貸し出しも同様に説明されるんですが、

よその企業の買収資金だったり、良く調べてみりゃ、結構ヤバイ種類のものが含まれてるんです。

これが非常に売れてますが、運用難で困ってる日本の金融機関でも結構買ってるんです。



両方とも ハイリスク・ハイリターンなんですが、

ハイリスクの癖にローリスクに見えるってのが非常にタチが悪いんです。




1年くらい前からアメリカはバブルじゃないのか? って議論は、ファンドや投資やってる友達の間でも話しにはあったんですが、


株がバブルなのか、

国債がバブルなのか?(10年物の米国債は今1%割れてます)


って中でも、確実にオカシイだろって意見が一致したのが、


「社債」でした。


シェール開発企業なんかが典型で、ハイリスクなお金をドンドン回して貰って勝負して高収益を上げてるんですね。




今回の石油の下落で、この辺りのシェール企業がバタバタって倒産でもしたら、

シェール企業に貸し付けしてる CLO が回収不能になり、

リーマン同様の事になり兼ねないってのが、

今回の株価大暴落だろうって話です。








最初は、アメリカFRBが出した大規模金融緩和と、日本円で107兆円に相当する直接給付をアメリカがするってので、

日本が同レベルの経済対策を打つのに、マクロ経済政策として正しいのは、・・って事が最初に書きたかったですが、

衆議議員の安藤裕さんなど正しい提言してる人も多いのですのでスルーで。











すげ~~~~記事長くなっちゃいました。



ここまで目を通してくれた 珍しい 変わり者の方 ご苦労さまでした(笑)




ちゃんちゃん。